[食品や化粧品に含まれるカドミウムへの長期曝露が
乳癌(がん)転移を促進?]
(HealthDay News 2012年4月23日)
低濃度のカドミウムへの長期曝露が一部の乳癌(がん)細胞の増殖を促し、
その転移を促進する可能性が予備的研究で示され、米サンディエゴにて開催
された実験生物学学会年次集会で発表された。
農業用肥料の多くに含まれる重金属であるカドミウムは、土壌や水に入り込む
可能性があり、他の体内への主な供給源にはたばこの煙や充電式電池、特定の
化粧品、食パンおよびその他の穀類、ジャガイモ、根菜類および野菜がある。
カドミウムは体内に入ると、女性ホルモンのエストロゲンに似た作用を示す
ことがある。
これまでの研究と異なり、今回の分析は、高レベルの重金属への急激な曝露
ではなく、カドミウムへの生涯曝露を検討したもの。
分析の結果、カドミウムの長期的な曝露により、乳癌細胞は乳房の外側
関門を通過することができ、特に、カドミウムに慢性的に曝露された細胞
では、高レベルのSDF-1が発現することが判明した。
SDF-1は腫瘍の浸潤および癌転移に関連する蛋白(たんぱく)。
研究著者である米ドミニカン大学カリフォルニア生化学准教授の Maggie
Louie氏は、「今回の研究はまだ初期段階であるが、我々はカドミウムが
癌を引き起こすのか、あるいは癌がカドミウムを引き付けるのかを解明
しようとしている。もしカドミウムへの慢性的な曝露が乳癌リスクを
高めるのであれば、エストロゲンへの他の曝露にも注意し、これらの曝露を
最小限に抑制する手段を講じることが重要になる」と述べている。
なお、学会発表された知見は、ピアレビューされた医学誌に掲載されるまで
予備的なものとみなされるべきである。
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