[禿頭症の男性は心疾患リスクが高い]
(HealthDay News 2013年4月3日)
男性の禿頭(とくとう)症(薄毛)が冠動脈疾患に関連する可能性を日本の
研究グループが示した。
研究論文は、オンライン医学誌「BMJ Open」に4月3日掲載された。
ただし、該当するのは頭頂部の禿頭症のみで、生え際後退の場合ではリスクは
ないという。
今回の知見は、約3万7,000人の男性を対象とした6件の発表済み研究の
分析に基づいたもの。
東京大学大学院医学系研究科の山田朋英氏らの研究グループは、今回の研究が
小規模であることを認めつつも、頭頂部禿頭症の男性は、非禿頭症や生え際
後退に比べ、心疾患を発症するリスクが32~84%高いとしている。
なお、今回のレビューでは禿頭症と心疾患リスクの関連が認められたが、
因果関係は明らかにされていない。
男性型禿頭症(アンドロゲン性脱毛症)は成人男性に最もよくみられる
タイプの脱毛症で、男性の40%を占め、80歳までに男性の約5人に4人が
禿頭症になるという。
今回の研究では、1950年~2012年のデータベースを分析した。
関連する850件の研究から、米国、デンマーク、クロアチアで1993年~2008
年に発表された6件を選択した。
被験者を11年以上追跡した3件の試験では、禿頭症男性の心疾患リスクが
他の男性よりも33%高く、55~60歳ではさらにリスクが高い(44%)ことが
示された。
禿頭症の男性とそうでない男性の心臓リスクを比較した別の3件の研究では、禿頭症男性の心疾患リスクが70%高く、若年の禿頭症男性では84%高かった。
さらに、脱毛が重症であるほどリスクも高いことがわかった。
このような関連がみられる理由は不明だが、禿頭症がインスリン抵抗性、
慢性炎症、テストステロンの感受性の高さ(いずれも心疾患発症の因子)の
マーカーとなる可能性があると研究チームは理論付けている。
いずれにせよ、禿頭症の男性がすべきことは、あらゆる男性についていえる
ことだが、「年齢、高血圧、血中脂質の異常、喫煙歴などのリスクファクター
(危険因子)を緩和するため、低脂肪食、運動、ストレスの軽減など、心臓に
よい生活習慣を取り入れることだ」と、山田氏は述べている。
米国の専門家らもこれに同意し、禿頭症かどうかにかかわらず、心臓によい
生活習慣が重要であるとしている。
米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(ボストン)のChristopher Cannon
氏は、「残念ながら私も該当するようだが、心疾患リスクの高い人は従来
有効とされる方法でリスク低減に努める必要がある」と述べている。
http://www.healthdayjapan.com/