[魚油サプリが糖尿病リスク低減に有効]
(HealthDay News 2013年5月22日)
魚油由来として知られるオメガ(ω)3系多価不飽和脂肪酸のサプリメント
摂取が2型糖尿病のリスクを低下させることが、14の無作為化プラセボ対照
比較試験データを用いたメタ解析で確認された。
米ハーバード大学公衆衛生大学院のJason Wu氏らによる解析で、ω3が
アディポネクチン濃度の上昇にも有効であることがわかったという。
血中アディポネクチン濃度の高値はインスリン感受性に関与し、血糖
コントロールや炎症といった代謝系に好影響を与え、さらに心疾患リスクの
低下にもつながることが知られている。
ω3がこのアディポネクチン濃度を上昇させることは動物実験では確認されて
いたが、ヒトにおいてまだ確認されていなかった。
Wu氏らは解析で、魚油サプリを摂取した682例(ω3群)と、ヒマワリ油や
オリーブオイルなどで作られたプラセボ錠を摂取した641例(プラセボ群)を
比較し、ω3と糖尿病およびアディポネクチンの関係について検討を行った。
その結果、ω3群では血中アディポネクチン濃度が0.37μg/mLと、わずか
ながら有意に上昇していることがわかった。
魚油の影響については各試験によって評価が異なったため、Wu氏らは
ω3系不飽和脂肪酸がある一定の人口において強い影響を持つ可能性を示唆。
どういった人口に魚油サプリが最も有益かについての検討が必要と結論して
いる。
「Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism」オンライン版に5月
23日公開されたこの論文について、Wu氏は同学会ニュースリリースで、
「高アディポネクチン濃度は糖尿病および冠動脈疾患リスクの低下に関連
するが、魚油が血糖代謝や2型糖尿病発症に影響するかについてはまだ
不明点が残る。しかし本検討からは、魚油の多量摂取が血中アディポネクチン
濃度をわずかに引き上げることが示唆された。魚油の消費が血糖コントロール
や脂肪細胞の代謝に有益な可能性を示したといえる」と述べている。
米国保健省の補助・代替医療研究センターの調査によると、2007年、米国
では成人の37%、小児の31%が魚油サプリを摂取している。
本研究は米国立心肺血液研究所(NHLBI)の助成を受けて行われた。
今回の結果は魚油サプリと糖尿病リスク低下の関連を確認したが、その因果
関係を明らかにしたものではない。
http://www.healthdayjapan.com/