多発性硬化症:体に有害な酸化や炎症を防ぐ栄養素の摂取量が少ない | アクティブエイジング アンチエイジング

[難病「多発性硬化症」、不足しがちな栄養素を補えるのは「うなぎ」]

(Medエッジ  2015年3月10日)


<白人女性の調査、抗酸化および抗炎症性栄養素の不足を指摘>
白人女性に多く、日本では難病指定の「多発性硬化症」。

このたびの研究により、多発性硬化症の白人女性は健康な女性に比べて、
葉酸やマグネシウムなどの、体に有害な「酸化」や「炎症」を防ぐ栄養素の
摂取量が少ないと分かった。

米ジョンズ・ホプキンス大学の研究グループが、米国神経学会のウェブ
サイトで2015年2月19日に報告したものだ。
この研究は、同4月18日から25日にワシントンDCで開催される「第67回
米国神経学会年会」で発表される予定になっている。



<白人女性で比較調査>
神経の病気「多発性硬化症」は、脳、脊髄、視神経に繰り返し炎症が起き、
視力障害、運動まひなどの症状の再発と回復を繰り返す病気だ。
白人に多い病気だが日本でも約1万人がこの病気に悩まされており、日本では
難病に指定されている。
原因はまだよく分かっていないが、体を守る仕組みである免疫系の異常が
病気に強く関わっていると知られている。
また、女性の方が男性の3倍多く、この病気にかかっている。

今のところ完全に治す治療法はなく、各国でこの病気の研究は精力的に
行われている。


今回研究グループは、多発性硬化症の白人女性における、ビタミンやミネラル
などの栄養素の摂取状況を調査した。

調査対象は、18歳から60歳までの肥満ではない(BMIが30以下)白人女性
で、多発性硬化症の27人と、健康な30人。
多発性硬化症の人が症状の改善のためにビタミンDのサプリメントを服用し
始めるまでの1年間、食事や栄養の摂取状況を記録した。



<「酸化」「炎症」を防ぐ栄養素が少なかった>
結果として、多発性硬化症の女性では、葉酸、ビタミンE、マグネシウム、
ルテイン/ゼアキサンチン、ケルセチンの5種類の栄養素の摂取量が少な
かった。
これらの栄養素は、体に有害な「酸化」や「炎症」を防ぐ役割を持つものだ。

葉酸はレバーやうなぎ、緑黄色野菜に多く含まれている。
ビタミンEはナッツに多く、マグネシウムは大豆製品や海草に多く含まれて
いる。
また、ルテイン/ゼアキサンチンはパプリカに、ケルセチンは玉ねぎに多く
含まれている。

米国では、1日に必要な葉酸の摂取量は400μgとされている。
健康な女性は1日に平均321μg摂取していたが、多発性硬化症の女性では
244μgと少なかった。

また、1日の必要量が320mgのマグネシウムについては、健康な女性の
摂取量は1日に平均321mgと足りていたが、多発性硬化症の女性は254mgと
こちらも少なかった。

また、多発性硬化症の女性は健康な女性に比べて、「脂肪エネルギー比率」が
低かった。
これは、摂取した総エネルギーに対する脂肪からのエネルギーの割合だ。
つまり、健康な女性に比べて、脂肪をあまり取っていなかった。


多発性硬化症は慢性的に炎症を起こす病気なので、抗炎症性作用のある
栄養素を十分に取れば、病気を防いだり、症状が出るリスクを下げたりできる
かもしれないと研究グループは語っている。





http://www.mededge.jp/a/psyc/10009