ピロリ菌、女性の多発性硬化症を防御か | アクティブエイジング アンチエイジング

[胃炎や胃がんの原因になるピロリ菌、女性の多発性硬化症を防御か]

(Medエッジ  2015年6月25日)


<オーストラリアからの報告>
ピロリ菌の感染を示す「血清反応陽性」の女性は、多発性硬化症のリスクが
少ない可能性があるようだ。

ウエスタン・オーストラリア大学の研究者を中心とする研究グループが、
神経科学分野の専門誌ジャーナル・オブ・ニューロロジー・ニューロ
サージェリー・アンド・サイカイアトリー2015年6月号で報告した。



<多発性硬化症の有無で比較>
多発性硬化症は、神経を保護するさやとなる部分がダメージを受ける病気。
しびれやまひなどを起こす。

ピロリ菌と多くの病気を増やすという関連性が報告されているが、多発性
硬化症との関係ではやや異なる結果が得られたようだ。

研究グループは、多発性硬化症の550人と、比較対照の299人について、
「酵素免疫測定法」で血液の成分について検査をした。
病気の人と、病気ではない人との間では条件を合わせるようにした。



<ピロリ菌感染がリスク低下に関与>
ピロリ菌の感染を示している、抵抗する抗体を調べたところ、多発性硬化症
では16%で抗体が確認できて、コントロールグループが21%で確認できた。
多発性硬化症の方が抗体の確認できた割合は低く、病気ではない人でピロリ
菌の感染が少ないと分かった。

特に女性では、多発性硬化症14%、コントロールグループは22%と大きな
差が出ていた。
男性では多発性硬化症19%、コントロールグループ20%でほとんど差が
なかった。



<男性では影響なし?>
多発性硬化症の中で比べても、年齢や病気の期間で調整すると、ピロリ菌感染
していないと判断できた女性よりも、感染していると判定できた人は、障害が
軽いと分かった。
一方、男性では反対の結果が出た。

多発性硬化症の再発率では、関連性は無かった。


研究グループは、ピロリ菌が多発性硬化症の発症を抑制する防御的な役割を
果たしていることを反映していると考えている。

子どもの頃の感染が免疫システムを準備し、アレルギー性の自己免疫疾患を
予防するという「衛生仮説」の一端を、ピロリ菌感染が示しているのかも
しれないと推論している(皿の手洗いで子どものアレルギーほぼ半減、
食器洗い機を使うよりも少なくを参照)。


ピロリ菌血清反応陽性と多発性硬化症のリスクの間の関連が女性にしか
見られないという結果については、さらに調査が必要であると述べている。




http://www.mededge.jp/a/cold/14952