[言語文化と肩こり]
(Wikipedia)
「肩が凝る」という言葉は、夏目漱石による造語との説がある。
それ以前はいわゆる肩こりの症状を特に指す用語は日本語になく、肩こりと
いう言葉が生まれたことで、多くの日本人が肩の筋肉が固くなる症状について
自覚するようになったとの言説がある。
しかしながら、『門』の発表とほぼ同時期には、「肩が凝る」を現代語と同じ
用法で使用している例は見られる。
それ以前より、「痃癖の凝り」といった表現が見られるため、この表現の
源流を漱石のみに帰するのは疑問がある。
また、『さらに、それ以前はいわゆる肩こりの症状を特に指す用語は日本語に
なく』なる説は、『門』以前にも樋口一葉が「肩が張る」と言う表現を用いている。
そもそも、1686年には、当時の医学書『病名彙解』において「痃癖」として
紹介されており、その俗語が「うちかた」であるとの記述がある。
妥当とはいえない。
「肩こり」と言う言葉が生まれたゆえ、その症状を自覚するようになったと
言説は、正確性を欠く。
このような言語文化に特有の症状の例として、フランス以外ではまれにしか
報告されない重い足(jambes lourdes)が有名である。
フランスでは日本での肩こりと同じように重い足を治すための民間療法なども
多く存在している。