ネアンデルタール人も鎮痛剤使った? 歯石から成分検出 | アクティブエイジング アンチエイジング

[ネアンデルタール人も鎮痛剤使った? 歯石から成分検出]

 

(朝日新聞 2017年3月9日)

 


約5万年前のスペインにいたネアンデルタール人が、現代の鎮痛剤や
抗生物質の成分を含む植物やカビを口にしていたことがわかった。

 

悪化した虫歯の痛みを抑えるためだった可能性があり、事実なら現代にも
通じる生薬の知識を持っていたことになる。

 

豪州や欧州の研究チームが8日付の英科学誌ネイチャー(電子版)に論文を
発表した。

 


研究チームは、ネアンデルタール人の歯に付着した歯石に注目。
スペインやベルギーの遺跡で見つかった5人の歯石に含まれるDNAを分析
した。
その結果、スペインのエルシドロン洞窟で見つかった若い男性の歯石から、
ポプラの木やアオカビの仲間に含まれる成分が検出された。
ポプラは鎮痛剤アスピリンの原料になるサリチル酸を多く含み、アオカビは
抗生物質ペニシリンを生成することで知られる。

 

男性の下あごには歯が化膿したとみられる痕が残っており、下痢などを
引き起こす病原菌に苦しんでいたことも判明した。
研究チームは「薬効を熟知した上で治療に使っていたように見える」として
いる。

 


研究チームはさらに、歯石から検出された歯周病の病原菌のDNAを解読した
ところ、ヒト(ホモサピエンス)とネアンデルタール人が約18万年前まで
同じ病原菌を共有していた形跡が見つかった。
数十万年前、共通の祖先から分岐した後にも、食物やキスなどを通して
同じ口内細菌に感染していた可能性を示しているという。

 

ネアンデルタール人は、欧州では4万年前ごろまでに絶滅。
最近の研究から、ヒトと交雑していたとする説が有力になっている。
(ワシントン=小林哲)

 

 

 

 

 

http://www.asahi.com/articles/ASK394DP7K39UHBI010.html?ref=yahoo