心に栄養(3)影響し合う脳と腸 | アクティブエイジング アンチエイジング

[心に栄養(3)影響し合う脳と腸]

 

(読売新聞 2016年11月28日)

 


「脳腸相関」という言葉をご存じだろうか。
脳と腸は影響し合い、腸が健康だと脳も健康になるという考え方だ。
近年の研究で、腸内細菌群が腸を介して脳に影響を与え、脳も腸を介して
腸内細菌群に影響を与える可能性が指摘されている。


脳のストレスが腸に影響することを端的に示すのが、満員電車に乗る度に
腹痛が起こったりする過敏性腸症候群だ。
腸管には問題がないのに、緊張する場面で腹痛や下痢が起こったり、便秘や
腹部膨満感が続いたりする。
この病気の患者は、成人の10~15%にも上ると言われている。

 

この患者は、腸内細菌のバランスが乱れている例が多いことも知られるように
なった。
国立精神・神経医療研究センター疾病研究第三部部長の 功刀(くぬぎ) 浩
さんは「過敏性腸症候群の患者の腸内では、ビフィズス菌などの善玉菌が
減っていたり、クロストリジウムなどの悪玉菌が増えていたりするという
報告がある。腸内細菌のバランスが乱れると、腹痛などが起こりやすくなり、
それが強いストレスとなって、腸内細菌のバランスが更に乱れる悪循環に
陥ると考えられる」と話す。

 


腸内細菌の状態は、うつ症状にも関係する可能性がある。乳酸菌やビフィズス
菌を1か月間摂取した人は、摂取していない人と比べて、うつや不安などが
明らかに減少したという報告がある。

ストレスだらけの日常を健やかに過ごすには、乳酸菌を含む発酵食品を
きちんととることが大切だ。
功刀さんは「食物繊維やオリゴ糖など、善玉菌の栄養となる食品の摂取も
心がけてほしい」と話す。
(佐藤光展)

 

 

 


https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20161124-OYTET50015/