味噌汁は塩分過多にはつながらない 30種類の味噌揃える店も | アクティブエイジング アンチエイジング
[味噌汁は塩分過多にはつながらない 30種類の味噌揃える店も]

(マイナビニュース‎  2013年11月22日)


高血圧や生活習慣病などで、気にかかる塩分。
これから気温が下がるにつれ、温かい味噌汁が美味しい季節だが「塩分を
控えたい」という気持ちから、味噌汁を飲むのを我慢してしまう人もいるの
ではないだろうか。


10月26日に行なわれた日本高血圧学会で、そんな思い込みを覆す発表が
された。
共立女子大学教授・医学博士の上原誉志夫先生が「味噌汁は食塩摂取量の
独立した決定要因ではないと明らかになりました」と報告。
具体的には、以下の3つのポイントが挙げられるという。

【1】味噌汁を飲んでも血圧には影響がみられなかった
味噌汁の摂取頻度別で、低頻度群:5日間当たり0~2回、中頻度群:5日間
当たり3~5回、高頻度群:5日間当たり6~15回の人を比較した際に、
血圧への影響は確認されなかった。

【2】減塩のために味噌汁を減らすことにあまり意味はない
味噌汁の食塩摂取量への寄与率は約2%で、味噌汁は食塩摂取量の独立した
決定要因ではなかった。

【3】1日1杯の味噌汁のある食生活が血管年齢を改善する可能性がある
1日1杯程度の味噌汁のある食生活が、血管年齢の指標CAVI値(動脈の
硬さを表す値)を低下させ、血管年齢を10歳程度改善する傾向が確認された。


味噌の歴史や栄養について詳しい「みそ健康づくり委員会」のサイトで、
その効能について見てみると、最新の研究成果による発見以外にも、多くの
ビタミンやミネラルを含む調味料であることがわかる。

前出の研究発表を行なった、上原先生に味噌の栄養などについて、話を
聞いた。
「味噌の材料は、良質の植物性タンパク質を多く含む大豆。発酵によって
多くの栄養成分が作られ、その約30%がアミノ酸であるだけでなく、必須
アミノ酸8種類を全て含む珍しい食材のひとつです。がんの抑制や血圧の
低下、抗動脈硬化、骨を丈夫にする助けになるなど、さまざまな機能に影響を
与える栄養があるんです」(上原先生)


“栄養は嬉しいけど、塩分は・・・”と思う人の中には、過剰に味噌汁の塩分が
多いと勘違いしているケースも多い。
「みそ健康づくり委員会」が行なった調査で、「味噌汁1杯あたりに塩分量は
何g含まれていると思うか?」という質問に正解したのは、17.1%。
実は味噌汁1杯の塩分量は約1gなのだが、 33.4%が「2g」、30.1%が
「3g」、8.8%が「4g」、実際の量の5倍になる「55g」と回答した人も
10.7%いた。

「摂取塩分量は実質的に少なく、それを相殺して、かつ身体に良い栄養が
摂りやすいのが味噌汁です。全国的に味噌汁の具として使われているワカメ
などの海藻類は、アルギン酸が摂取塩分を相殺して、血圧を下げる効果が
あります。またヨード(ヨウ素)には、代謝を高める機能も。良い出汁が出て
美味しい貝類は、亜鉛やセレンといった微量元素が摂取でき、栄養面のほかに
味覚の改善にも効果がある具材ですね。春や夏のアサリ・しじみに加え、
今の季節は牡蠣もお薦めです。また季節食材では、免疫力を上げて感染症を
防ぐ栄養を含む、きのこ類。野菜を多く摂ることで抵抗力が高まりますから、
野菜をいっぱい食べられる具だくさんの豚汁も、不足しがちな栄養を豊富に
摂れる点で、特に良いでしょう。味噌汁を健康に役立てる食べ方としては、
毎日同じ具ではなく、海藻や貝類・野菜といった具材を日替わりで入れて、
多くの栄養を手軽にバランス良く摂れるようにするのが、賢い活用法です」
(上原先生)


近年は日本食が世界のブームになり、「和食」がユネスコ無形文化遺産に
登録される見通しがニュースにもなっている。健康的な食文化としての
「和食」には、さまざまな工夫がある。
その基本形のひとつが「一汁三菜」で、バランスの良い食事を構成する
“先人の知恵”があり、その一翼を担うと言っても過言ではないのが
「一汁=味噌汁」なのだ。

また味噌汁は「おふくろの味」のひとつであるだけでなく、味噌という
調味料が地域ごとの食文化を支えているケースも多い。
最近は多様なご当地グルメや食文化の再発見から、味噌専門店が改めて
見直されつつあり、いわゆるデパ地下などでも取扱商品が増えている。

そこで、都心のオフィス街・五反田駅の近くに長年店を構える味噌専門店、
坂本商店五反田本店を取材した。
店内には味噌樽がずらりと並び、常時30種類程の全国各地の味噌が売られて
いる。
客層は主婦のほか、五反田という場所柄から仕事帰りやお昼休みに立ち寄る
サラリーマンも多いという。
「今の季節は常温でも2・3日、夏場も1日くらいは大丈夫なんで、お昼休みに
買って行く人も結構いますよ」と教えてくれたのは、坂本章社長。
店の入り口には、人気上位や店の“オススメ”の味噌が小さなパックで15種類
並び、「どれでも100円」というのが嬉しい。

八丁味噌や西京味噌、田舎味噌など、見ていると思わず全部試したくなるが、
味噌汁の具や料理別で、お薦めの味噌はあるのだろうか。
「味噌の味を直接楽しむ料理だったら、焼きおにぎりには甘めの九州麦味噌。
生や茹で・焼き野菜につけて食べるなら、信州の麹味噌などが人気です。
貝には赤出汁がいいって言う人が多いけど、味噌汁は人それぞれの好み。
うちは2~3種類を合わせて500g――といった買い方を薦めていて、『今日は
赤味噌』『今日は白』『今日は境目の混ざっているところ』って感じで、
いろいろ組合せを楽しんで使ってもらうのが、良いんじゃないですかね。
好みを聞きながら、あれこれ相談して買われる人も多いですよ」(坂本社長)






http://news.mynavi.jp/news/2013/11/22/581/