胸焼けの治療薬が腎疾患リスクに関連 | アクティブエイジング アンチエイジング
[胸焼けの治療薬が腎疾患リスクに関連]

(HealthDay News  2015年10月27日)


胸焼けの治療によく用いられるプロトンポンプ阻害薬(PPI)と慢性腎臓病
(CKD)の関連が、新たな2件の研究で示唆された。
PPIは胃酸を減少させることで、胸焼けや胃酸の逆流を治療する薬である。


今回の研究では因果関係は裏付けられていないが、研究著者の1人である
米ニューヨーク州立大学バッファロー校准教授Pradeep Arora氏は、PPIは
承認された適応症にのみ使用すべきであり、単なる胸焼けに用いるべきでは
ないと述べている。


慢性腎臓病は、腎臓が損傷して血液を適正に濾過できなくなる病態で、
糖尿病や高血圧が一般的な危険因子とされる。


Arora氏の1件目の研究では、2001~2008年に慢性腎臓病を発症した
2万4,000人を超える患者を対象とした。
患者の4人に1人が過去にPPIを用いた治療を受けており、PPIを使用した
患者は早期死亡リスクがほぼ2倍であることがわかった。

2件目の研究は、オーストラリア、ロイヤル・ブリスベン・アンド・
ウイメンズ病院のBenjamin Lazarus氏が率いたもので、腎機能の正常な成人
1万人以上を1996年から2011年まで追跡。
その結果、PPIを使用した群では慢性腎臓病を発症するリスクが50%高い
ことが判明した。
胃酸を抑制する別クラスの薬剤であるH2ブロッカーを使用した場合は、
リスクの上昇はみられなかったと研究グループは指摘している。

この知見は、米サンディエゴで開催された米国腎臓学会(ASN)年次集会で
発表された。
学会発表されたデータおよび結論は通常、査読を受けて医学誌に掲載される
までは予備的なものとみなされる。



Arora氏によると、短期的なPPI使用との関連が認められている急性間質性
腎炎の発作を繰り返し起こすと、徐々に腎臓が損傷される可能性があると
いう。

また、PPIが血液中のマグネシウム濃度を低下させることにより腎損傷を
引き起こすとも考えられる。


しかし、別の専門家は、PPIを使用する患者には肥満などの健康問題がある
傾向がみられると指摘するほか、同じく慢性腎臓病との関連が認められている
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の使用についても考慮する必要があると
指摘している。


今回の研究ではNSAIDの使用については考慮していないが、他の健康問題に
ついては調整を行ったとArora氏は話す。
「米国のデータによると、PPIの処方の90%は米国食品医薬品局(FDA)が
認可する適応症とは無関係である。むやみにこの薬剤を用いることが、多くの
患者にとって逆効果となる可能性がある」と同氏は述べている。





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