[お酒に弱い人ほど肝臓に注意! 飲酒グセなくても脂肪肝になりやすい]
(エイジングスタイル 2016年06月15日)
お酒に弱い人は、飲酒習慣がなくても脂肪肝を発症しやすい――
ショッキングな研究結果が、熊本大学大学院生命科学研究部の鬼木健太郎
助教、守田和憲氏、猿渡淳二准教授らと、日本赤十字社熊本健康管理
センターの共同研究チームによって発表された。
脂肪肝は肝臓に中性脂肪が蓄積している状態で、「フォアグラ」も一種の
脂肪肝。
大量のアルコール摂取が原因として知られているが、近年は過食や運動不足に
起因する「非アルコール性脂肪性肝疾患」が増加しているという。
自覚症状がなく、肝硬変まで進行してしまう場合が多く、早期発見や予防が
重要となる。
従来の考えでは、アルコールを分解する酵素の働きが遺伝的に高い(お酒に
強い)人は、多量に飲酒するため脂肪肝リスクが高く、低い(お酒に弱い)
人は、リスクが低いとされていた。
しかし、近年発表されたマウスによる実験では、アルコールの摂取量に関係
なく、アルコール分解酵素の働きが高いと、肝臓への脂肪蓄積が抑えられて
いることがわかり、飲酒が関係しない非アルコール性脂肪性肝疾患の発症
リスクが低下している可能性も示唆されている。
研究チームは、日本赤十字社熊本健康管理センターで人間ドックを受診した
341人を対象に、遺伝子型を解析。
お酒に対する強さと、非アルコール性脂肪性肝疾患の罹患率を比較した
ところ、お酒に弱い人は、強い人の約2倍罹患率が高くなっていた。
また、肝機能障害の指標に用いられる「γ-GTP」の値を比較したところ、
「お酒に弱く、γ-GTP値が25.5IU/リットル以上」の人は、「お酒に強く、
γ-GTP値が25.5IU/リットル未満」の人に比べ、脂肪肝発症リスクが
約4倍にまで上がっていた。
研究チームは、「お酒に弱く、飲酒習慣がない人でも脂肪肝リスクは高いと
考え、γ-GTPの継続的なチェックや生活改善を常に意識することが
望ましい」としている。
発表は、2016年5月23日、英国のオープンアクセス誌「Nutrition &
Diabetes」に掲載された。
http://news.goo.ne.jp/article/agingstyle/life/agingstyle-1195.html