免疫と病気 ピリピリの正体:4  病名わかり前向きに | アクティブエイジング アンチエイジング
[免疫と病気 ピリピリの正体:4 病名わかり前向きに]


(朝日新聞   2012年11月4日)


口の中でカンジダというカビの一種が増えて舌が白くなり、ピリピリした
痛みで眠れなくなった徳島県吉野川市のタカコさん(75)は、徳島大病院
口腔内科で抗菌剤の塗り薬やうがい薬をもらった。

2010年末にカンジダは消えたが、それでもピリピリは残った。


「シェーグレンという免疫の病気かもしれません」
新たに主治医になった東雅之教授(57)は、唾液や涙が減るシェーグレン
症候群という病気のことを話した。

本来は細菌やウイルスといった外敵と闘うリンパ球が異常に増え、唾液腺
などの自分の細胞を攻撃してしまう。
殺菌作用がある唾液が減るため、口の中でカビや雑菌が活発化する。
この病気だとすれば、涙腺も攻撃され涙が減ることがある。

10年ほど悩んでいるドライアイも説明がつく。
「免疫の病気って、どないして治すの?」
まったく聞き覚えのない病名にうろたえる一方、自分の体で起きていることが
わかっていく一歩だとも考えた。
ただただ落ち込んでいるのは、性に合わない。前を向こうと思った。

年明けに下唇の裏を少し切り取って調べた。
リンパ球が異常に増え、唾液腺が攻撃されて減ってしまった状態が確認され、
1月20日にシェーグレン症候群と正式に診断された。


東さんらは、今は円形脱毛症などに使われる「セファランチン」という薬に、
唾液の分泌を増やす効果があることを確かめる研究を進めている。

この研究に協力することを同意し、毎食後2錠、セファランチンを飲み
始めた。
すぐにわかる効果は感じなかった。
だが、回復を信じて薬を飲み続けた。

東さんや、この科の医師たちはいつもにこやかで、話しやすい。
多くの病院で医師とのやり取りに苦労してきたので、初めて心を開ける
人たちに出会った思いだった。

おしゃべりで口を動かすと、多少は唾液が出てくる。
日中はできるだけ、家族と話すようにした。

つらいのは夜、自室に1人でいるときだった。
こまめにうがいして口を潤し、本で読んだ耳の下あたりのマッサージを
繰り返した。





http://www.asahi.com/health/ikiru/TKY201211030143.html