免疫と病気 ピリピリの正体:3  このまま老いていくの? | アクティブエイジング アンチエイジング
[免疫と病気 ピリピリの正体:3 このまま老いていくの?]

(朝日新聞   2012年11月3日)


2010年の正月、舌が真っ白になった徳島県吉野川市のタカコさん(75)は、
近くの病院で、膠原病の一種かもしれないと言われた。

専門医に行くように勧められ、翌日、徳島市内の総合病院で診察を受けた。
ところが、応対した膠原病担当医の結論は「特に異常なし」だった。

どうして?
舌は真っ白でピリピリと痛みもある。
血圧も、ふだんは上が110、下が60くらいなのに、上が180と異常に高く
なっている。
「こんなに症状が出ているんですよ」と食い下がったが、医師は意見を
曲げなかった。
「こんなの病気じゃありません」と、取りつくしまもない。
「お医者さんて、こんなもの?」
がっかりした。


亡くなった夫が、徳島大病院口腔内科に入院していたことを思い出し、外来を
訪ねて診察を受けた。
以前、口が痛み出したときに相談したところだ。
「カンジダかもしれないですね」
ここで初めて、舌が白くなった原因らしいものの具体的な名前を聞いた。

カンジダはカビの一種で、健康な人の口にも存在しているが、何らかの理由で
免疫力が下がったりすると増殖し、舌苔(ぜったい)と呼ばれる白い固まりを
作ったり、痛みを引き起こしたりする。

検査の結果、舌を白くしたのはやはり、カンジダだとわかった。
抗菌剤の塗り薬や、うがい薬、舌苔を取るブラシなどをもらって帰った。

指示された通りに薬を塗り、うがいもこまめに繰り返したが、すぐには
カンジダは消えなかった。
口の中が重く、何かが引っ付いている不快感が、毎日に影を落とした。
「ずっとこんな状態のまま、私は老いていくんかな」

口臭も気になり、人と話すときは無意識のうちに手で口を覆った。
だんだん、家族以外の人と会うのがおっくうになった。
毎週末、楽しみに通っていた陶芸教室を休み始めた。


10年前から続くドライアイも相変わらずで、人工涙液の目薬を手放せない。
鏡を見るたびに、突然、額や頬が真っ赤になったときの恐怖を思い出した。
「いったい私、なんの病気なんだろう」





http://www.asahi.com/health/ikiru/TKY201211020197.html