[口を開けるのもつらい口角炎の原因と対策]
(毎日新聞 2016年4月12日)
強い痛みで口を開けるのもつらくなる口角炎。
小さな傷ですが、食事や会話のたびに痛みを我慢しなくてはなりません。
また、口元は隠すことができないので人目も気になります。
原因や対策についてまとめてみましょう。
口の両端の口角に亀裂が入り、腫れたり出血したりするのが口角炎の主な症状
です。
軽度ならば、口角が赤くカサついて唇の横の部分が固くなる程度ですが、
口の開閉で亀裂が入ると強い痛みを感じるため、話したり、飲んだり食べたり
することもつらくおっくうになります。
かさぶたができても、口を開けると傷口が開きなかなか治りにくく、出血も
しばしばみられます。
口角が炎症する原因の多くはカンジタ菌です。
カンジタ菌は人の体にもともとすんでいる常在菌の1つで、健康なときには
特別な悪さはしません。
しかし体力の低下や疲労、ストレスなどで免疫力が低下すると、菌が繁殖して
炎症を起こします。
炎症している部分がヘルペスと間違われやすいのですが、ヘルペスは単純
ヘルペスウイルスが原因で、唇だけでなく体じゅうのどこにでもできます。
また、ウイルスなのでくしゃみや咳など接触感染で人にうつりますが、
口角炎はうつる心配はありません。
口角炎は、ビタミン・ミネラル不足が発症の原因となります。
特にビタミンB2、B6といったB群、鉄分が不足すると皮膚の炎症を起こし
やすくなるので、日ごろからこれらが不足しないよう、
栄養バランスに注意することが大切です。良質な肉・魚・大豆、野菜や
きのこなどを積極的に摂りたいものです。
また、胃の不調があると口角炎を起こしやすいことがわかっています。
口の中と胃はひとつながりの管である消化器官。
胃の調子が悪く荒れているということは口の中の粘膜も荒れてくると
考えられ、口角炎になりやすくなります。
このほか、アトピー性皮膚炎や薬品によるかぶれ、鉄欠乏性貧血と合併する
こともありますし、一般的には空気が乾燥する季節になると発症しやすい
傾向があります。
空気が乾燥すると皮膚の水分が奪われやすく、乾いて傷んだ皮膚に菌が増えて
炎症を招きやすくなるためです。
病院へ行かずに自己流で治そうとする人が多いようですが、早く治すには
受診が確実です。
病院ではカンジタ菌に対する抗真菌薬や炎症に対する抗生物質などが処方
されます。
飲み薬のほか、必要に応じて軟膏が出されます。
軟膏は落ちやすいのでこまめに塗り続け、これによって3~4日程度で
軽快します。
治療中はできるだけ手で触れたり舌でなめたりしないように気をつけ
ましょう。
また、治りかけにできるかさぶたは気になっても剥がさないように
しましょう。
剥がすと皮膚がまた傷つけられて治りが遅くなってしまいます。
口周りや口の中は、いつでも清潔を保つようにします。
口角炎を防ぐためには、十分な睡眠をとるなど免疫力が低下しないよう、
規則正しい生活を心がけることが大切です。
監修:目黒西口クリニック院長 南雲久美子
http://mainichi.jp/premier/health/articles/20160411/med/00m/010/002000c