[ピロリ菌は歯にも住んでいる! 除菌治療に歯周治療を組み合わせると…]
(MEDLEY 2016年4月26日)
胃潰瘍などの原因になるピロリ菌は、薬で除菌しても生き残り、治療失敗と
なることがあります。
口の中にもピロリ菌が見つかることから、胃の除菌に歯周の治療を組み
合わせる研究も行われています。
これまでの研究からわかった事実がまとめられました。
<歯周治療の効果は?>
ここで紹介する研究は、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)の除菌治療に
あわせて歯周の治療を行うことに効果があるかについて、これまでにどの
ような研究がなされているかを調べたものです。
研究班は、文献データベースを検索して、関係する研究報告を集めました。
見つかった7件の研究からデータを集めて統合し、歯周治療の効果を検討
しました。
<除菌の成功率が向上>
統合したデータから次の結果が得られました。
合計691人で17歳から78歳の参加者を対象とした、7件の小さいRCTを
メタ分析に含めた。
その一次的な結果として、ヘリコバクター・ピロリ除菌治療と組み合わせた
歯周治療は、除菌治療単独に比べて、ヘリコバクター・ピロリ感染のある人に
おいて胃ヘリコバクター・ピロリの除菌率を増加させた(オッズ比2.15、
95%信頼区間1.47-3.14、P<0.0001)。
歯周治療を加えることで、胃の除菌治療だけを行うよりも除菌の成功率が高く
なると見られました。
ピロリ菌に感染している人は高齢ほど多くなります。
ピロリ菌は胃潰瘍だけでなく十二指腸潰瘍、胃がん、胃MALTリンパ腫、
特発性血小板減少性紫斑病などとの関連も言われています。
ピロリ菌の除菌はこれらの病気予防につながる可能性がある一方で、逆流性
食道炎などの副作用もあります。
除菌についてこの報告のような知識が蓄えられることで、これからのピロリ菌
対策がもっと合理的にできるようになるかもしれません。
https://medley.life/news/item/5719ca987ac4221b008bad76