[<食の泉>(70)目と味の関係/色やイラスト 錯覚生む]
(河北新報 2015年07月24日)
数年前に卒業したゼミ生がこんな実験をしました。
水にブドウ糖とクエン酸を混ぜた甘酸っぱい液体を作ります。
この液体に、食紅で色をつけ、香料で匂いをつけます。
たとえば、オレンジの香りをつけたオレンジ色の水と、イチゴの香りをつけた
赤い水を用意するわけです。
どちらもまったく同じ液体から作りますから、味は同じはずです。
ところが、飲んでみると、不思議なことが起こります。オレンジ色の水は
明らかに「オレンジの味」に感じますし、赤色の水は、明らかに「イチゴの
味」なのです。
本来、味に違いはないので、この感覚は「錯覚」です。
興味深いことに、この錯覚はコップにオレンジやイチゴの絵が描いてあると、
さらに強まりました。
きのうは匂いが味に関係するという話をしましたが、匂いだけでなく、
目(視覚)も味に関係するようです。
不思議ですね。料理では、盛り付けも味のうちと習いますが、まさにその通り
なのです。
(宮城学院女子大教授 大橋智樹)
http://www.kahoku.co.jp/special/spe1158/20150724_01.html