てんかんの成人患者5人に1人にADHDの症状がある | アクティブエイジング アンチエイジング
[てんかんの成人患者5人に1人にADHDの症状がある]

(MEDLEY  2015年6月18日)


<2つの病気に関連性が有るのか?>
てんかんは、けいれん発作などに代表される症状を特徴とし、100人に1人が
持っていると言われる、非常に多い脳の病気です。

ADHDといえば、不注意、多動性、衝動性などの症状に代表される発達障害
です。

それぞれ全く違う症状を呈する2つの病気ですが、今回の研究では、
てんかんを持つ大人の5人に1人がADHD症状を持つこと、ならびにADHD
症状の有無がてんかんの症状、生活の質に相関するという結果が出ています。



<てんかんとADHD>
てんかんは、全身けいれんをおこしたり、突然意識を失ったり、その場に
倒れたりといった症状をきたす病気で、幼少期から老年期まで幅広い年齢層の
人に起こります。
原因は、脳の神経細胞が異常な活動をしてしまうことと言われています。

一方で、ADHD(注意欠如・多動性障害)とは、幼少期の子供に多く、
小学校の授業中に立ち歩く、1つのものに集中できない、順番が待てない、
突然道路に飛び出すなどの症状をきたす病気で、詳しい原因はわかって
いません。
大人にもADHDの症状が出ることがあります。

このように、症状としては全く異なる2つの病気ですが、片方の病気を持つ
人の中に、もう片方の病気を持つ人が多いということは以前から指摘されて
いました。

今回の研究はそれをきちんと証明して2つの病気の関連性を示すことを目標に
計画されました。



<1,361人の成人てんかん患者を調査>
筆者らは1,361人の成人てんかん患者に対して、ADHD症状や不安障害、
うつ状態、抗けいれん薬の数や種類、生活の質などの項目のアンケートを
行い、データを解析しています。



<18.4%にADHD症状あり>
結果としては、まず初めに、1,361人中、18.4%に当たる251人がADHD
症状があると分類されました。

さらに、ADHD症状がある人では、ADHD症状がない人と比べて、うつや不安
障害の程度が強く、てんかん発作の頻度が高く、使用している抗けいれん薬の
量も多いという結果が得られました。

他にも、ADHD症状がある人では、生活の質が低く、物理的機能、社会的
機能が低く、家族との不具合や社会との不具合、仕事関連の不具合が多いと
いった様々な傾向がみられました。


以上をまとめると、てんかん患者においてADHD症状を持つ人は多く、
ADHD症状がある人の精神症状の程度は強く、生活の質が低いという結果と
なりました。



今回は、アンケートを元にした自己回答型の横断研究ですので、てんかんと
ADHDのどちらが原因でどちらが結果かを区別できないなど、解釈には注意が
必要ですが、2つの病気に関連がある可能性が示唆されました。

こういった研究の良いところは、片方の病気に効く薬がもう片方の病気に
効くのではないか、という幅広い仮説を産み出せることや、2つの疾患の
メカニズムのさらなる解明につながる可能性があることです。

今後の研究に期待しましょう。





http://medley.life/news/item/557f9864192351f3004a0eb5