てんかん治療は高脂肪ケトン食にD−ロイシン(アミノ酸) | アクティブエイジング アンチエイジング
[てんかんの発作を止めるアミノ酸を確認、新しい治療に?]

(Medエッジ  2015年6月27日)


<Dロイシンが効果あり>
てんかんの発作を強力に押さえ込むために、ある種のアミノ酸が有効である
可能性が浮上している。
新しい治療になるかもしれない。

米国ジョンズ・ホプキンス大学を中心とした研究グループが、神経分野の
専門誌であるニューロバイオロジー・オブ・ディズィーズ誌で2015年
6月4日に報告した。



<アミノ酸の謎>
体の中でアミノ酸がどのように働いているかは謎も多いようだ。
アミノ酸が集まったものがタンパク質でさまざまな機能を果たしている。
さらに、エネルギー源にもなる。
体の中の多くの生化学反応にとって必須になる。

一方で、研究グループによると、てんかんの治療法は過去50年にわたって
ほとんど進歩していないという。
てんかんの薬に耐性を持つ数百万人もの人が良い治療がないまま過ごして
いるという。



<てんかん発作を止める?>
研究グループはこれまでの研究から、ある種のアミノ酸はてんかんの発作を
防ぐかもしれないと推定していた。

てんかんのネズミを電気で刺激しててんかん発作を起こす実験をしたところ、
「Dロイシン」というアミノ酸を投与したときに、なかなかてんかん発作が
起きなくなった。

Dロイシンとは特殊なアミノ酸で、通常、体内に存在するL-ロイシンとは
異なり、ちょうど鏡に映した対称な形になっている。

てんかんの人では、脂肪の多い食事である「高脂肪ケトン食」が有効と
分かっている。
同じように、体の中で処理されて効果を示していると見られている。



<薬よりも効果が速やか>
研究グループが注目したのはDロイシンは発作を低用量でも停止させた
ところ。

さらに、研究グループはてんかんを起こすネズミを対象として、Dロイシン
と、同じようにてんかんを止める効果を持つ鎮静用のダイアゼパムを比べた。

結果として、両方の治療が発作を止めた中で、Dロイシンはダイアゼパム
よりも約15分早く発作を止めていた。

しかもDロイシンで治療されたマウスは通常の動作をより早く再開させた。

Dロイシンで治療されたネズミはダイアゼパムで治療したときに出てくる
眠さと不活発さのいずれもが見られなかった。


Dロイシンが、細胞間の信号伝達にどのように関与するかを調べると、
Dロイシンの神経の信号とのやり取りの関係はなかった。

Dロイシンはこれまで知られている仕組みとは異なる形で神経に効いていると
見られるようだ。


てんかんに対する新たな治療が登場するのかもしれない。





http://www.mededge.jp/a/psyc/15055