[甲状腺ホルモンが多い人には加齢黄斑変性の発症が多かった]
(MEDLEY 2015年5月31日)
<ロッテルダム研究のデータから>
加齢黄斑変性は、網膜に変化が起こって目が見えにくくなる難病で、高齢者に
多く、原因は明らかになっていません。
オランダで行われた大規模追跡調査のデータから、甲状腺ホルモンが多い人は
その後加齢黄斑変性を発症する率が高かったことが報告されました。
<ロッテルダム研究のデータを利用して解析>
研究班は、オランダで行われたロッテルダム研究という大規模追跡調査の
データから、次のように対象者を選んで統計解析しました。
ロッテルダム研究で甲状腺刺激ホルモンおよび/または遊離チロキシンを計測
され、加齢黄斑変性についても評価された55歳以上の参加者を対象とした。
甲状腺ホルモンの量を測られていて、かつ加齢黄斑変性が発症したか
しなかったかもわかる55歳以上の人を対象としました。
<甲状腺ホルモンが高いと加齢黄斑変性が増える>
解析の結果、以下の関連が見つかりました。
5.573人の参加者について、中央値6.9年(四分位間範囲4.4年~10.8年)の
フォロー期間の情報が得られた。
フォロー期間中、805人が加齢黄斑変性を発症した。
甲状腺刺激ホルモンのレベルは加齢黄斑変性のリスクと関連がなかった。
遊離チロキシンの正常範囲においては、そのうち遊離チロキシンが上位1/5の
群で加齢黄斑変性を発症するリスクが中央値を含む群に対して1.34倍になって
いた。
遊離チロキシンのすべての範囲を含む解析では、遊離チロキシンが1pmol/L
増加するごとに加齢黄斑変性のリスクはハザード比1.04倍に増加していた。
5,573人の参加者を追跡したデータのうちで、805人に加齢黄斑変性が発症
していました。
甲状腺ホルモンの量が正常範囲にある人のうちでは、正常範囲の中で上位
1/5の人数にあたる人に加齢黄斑変性が起こる率は、上位2/5から
3/5の人の1.34倍になっていました。
甲状腺ホルモンの異常値を含むすべての範囲について解析すると、甲状腺
ホルモンが多い人ほど、加齢黄斑変性の発症も多いという関連がありました。
研究班は「このデータは加齢黄斑変性に至る経路の中で甲状腺ホルモンが
重要な役割を持つことを示唆する」と述べています。
この関連がどのようなしくみで引き起こされていたのかについてはさらに
研究が必要ですが、加齢黄斑変性の原因解明に向けたヒントになるかも\しれません。
http://medley.life/news/item/55670c97fa48dc03019c4cb0
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[コメント]
甲状腺機能亢進症は甲状腺機能低下症の前駆段階とする考え方もあります。
甲状腺機能亢進症にしても甲状腺機能低下症にしても、原因の1つとして
鉄欠乏があります。
(横山歯科医院)
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