生卵もつかめる! セグウェイ開発者の義手、米国で販売へ | アクティブエイジング アンチエイジング
[生卵もつかめる! セグウェイ開発者の義手、米国で販売へ]

(あなたの健康百科  2014年05月22日)


手を失った人にとって義手は大切な存在だが、手先が動く「能動義手」でも
細かい作業はしにくい。

こうした中、繊細な動きができる義手「DEKA Arm System」が米国で医療
機器としての販売を認可された。米
国防高等研究計画局(DARPA)の資金援助を受けて米開発会社DEKAが開発
したもので、生卵やコインもつかめるという。
開発したのは、電動立ち乗り二輪車「セグウェイ」を生み出した発明家の
Dean Kamen氏だ。



<9割で日常生活の動作が可能に>
義手には、外観を重視した「装飾用義手」、肘や肩など体の動きで手の機能を
再現する「能動義手」、さまざまな作業に特化した「作業用義手」が一般的
だが、いずれも細かい作業をするのは困難だ。


「DEKA Arm System」は、筋肉を動かす際に脳から出る弱い電気信号(表面
筋電位)を読み取って操作する「筋電義手」に分類される。
脚に装着したセンサーが脳からの電気信号を受けて無線信号を発信、多数の
関節を同時に動かすことを可能にした。
重さは大人の腕と同程度に抑えたとしている。

今回の販売承認の前に退役軍人36人がこの義手を使ったところ、約9割が
普段の生活で行う身の回りのこと――例えば鍵の開け閉めや食事の準備、
自分で食事を取る、ファスナーを閉める、髪をとかす・まとめるといった、
これまでの義手ではできなかった動作できたという。

DEKA社やDARPAの公式サイトでは、実際にこの義手でブドウやコインを
つかんでいる写真のほか、生卵を容器に移し替える動画が掲載されている。


なお、この義手は肩や上腕を切断した人が対象で、肘や手の関節を切断した人
では使えないという。



<開発コードネームは『スター・ウォーズ』に由来>
開発者のKamen氏はセグウェイの開発で脚光を浴びた発明家だが、輸液ポンプ
「AutoSyringe」や携帯人工透析システム「HomeChoice」、安価な浄水
システム「Slingshot」、荒れ地も走行できる電動車椅子「iBOT」なども
開発。

さらに、学生の科学技術への関心を高めるべく、ロボット競技会を開催する
組織「FIRST(For Inspiration and Recognition of Science and
Technology)」を設立した。


ちなみに、開発時にセグウェイが「Ginger(ジンジャー)」、iBOTが
「Fred(フレッド)」と呼ばれていたように、DEKA Arm SystemもDEKA
社内では「Luke(ルーク)」の愛称で親しまれていた。
これは、映画『スター・ウォーズ』シリーズに登場する義手の主人公、
ルーク・スカイウォーカーから取ったという。