[筋電義手]
(Wikipedia)
通常、義手は「重い」「暑い」「人から注目を集めたくない」「反対の手で
代償できる」といった理由から、軽量であることや外観の再現が中心となって
製作されることが多い。
これに対して、外観よりも機能の再現を目指して開発されたのが筋電義手で
ある。
<概要>
筋肉は、脳から命令として発せられる微弱な電気的刺激を認識した神経から
分泌されるアセチルコリンを受容体が受け止めることによって収縮する。
この時発生する電位は微弱ではあるものの、体表面でも検知することが
できる。
これを「表面筋電位」と言い、筋電義手を動かすスイッチとなる。
操作法は切断者によって異なるが、切断してしまった部分を動かす筋を
スイッチとする場合が多い。
例えば手首を切断した場合、手首の掌屈(掌側へ手首を曲げること)する時に
発生する表面筋電位を「ものを掴む」、背屈(手の甲側へ手首を曲げること)
する時に発生する表面筋電位を「ものを離す」といったように、義手の動きと
表面筋電位の発生方法に一定のルールを設けることで操作を行う。
このように表面筋電位を感知し、その出力が一定の閾値を超えることで
スイッチをオン・オフさせて動作させるのが筋電義手である。
内蔵されたモーターにより、ものを掴む・離すという動作(把持)ができ、
擬似的に本人の意思で動く手を再現する。
近年では表面筋電位の閾値ではなく、表面筋電位の波形そのものから義手が
動作するような筋電義手も研究されている。
しかし表面筋電位は極めて微弱であることから検知が難しく、誰でも使用
可能というわけではない。
また内蔵されたモーターが重く、価格も高価であるので、試用体験を通し、
長所・短所をよく理解しなければならない。
したがって切断に詳しい医師の診断と、経験豊富な作業療法士・義肢装具士の
サポートが不可欠である。