[ご存じですか? スマホなどによる指の関節炎「RSI」]
(あなたの健康百科 2013年2月6日)
スマートフォンやタブレットといったスマートデバイス(多機能携帯端末)
など、タッチパネルを指1本で操作できる技術は、今やさまざまな場面で活用
されている。
しかし、その便利さとは裏腹に、特定の指だけが酷使されることで関節炎
などの症状が起こるのはご存じだろうか。
「RSI(repetitive strain injury)」と呼ばれ、日本では「反復性運動過多
損傷」とも訳されているこの病態、以前から「ブラックベリー」などの携帯
端末で生じることが知られていた。
しかし、キーボードがなくなり、入力に要する指の数がより少なくなった
スマートフォンでも、RSIのリスクがあると専門家は懸念しているようだ。
カナダ医師会雑誌「CMAJ」の公式ニュースが伝えている。
(特定の指に負荷)
RSIは反復動作や過剰使用により起こる筋肉、神経、腱の痛みなどを特徴と
する腕の障害。
「長時間、休みのない活動」や「重いものを持ち上げるなど負荷のかかる
活動」「不安定な姿勢を余儀なくされること」の他、寒さやストレスが要因と
して挙げられている(英国保健サービス公式サイトの「Repetitive strain
injury」参照)。
携帯端末の長時間使用が原因のRSIとして、海外では「ブラックベリー」に
よるものが最も知られており、CMAJニュースはグーグルで「treatment
Blackberry thumb」と検索したところ317万件もの記事がヒットし、治療
内容はアイシング(患部を冷却すること)から外科手術まで幅があったと
伝えている。
同ニュースでは、放射線科や産業医学の専門家らの分析も紹介。
現在、世界的に使用者数が増えているスマートフォンなどのタッチパネル
デバイスでは、指による操作が機器に認識されているかが分かりにくく、
画面を強く押してしまう、あるいは指1本での入力あるいはフリック入力
(指をスライドさせながら入力すること)などの要因が、特定の指に負荷を
かけるリスクとして挙げられている。
<若年者での患者増を懸念>
こうしたリスクを回避するための方策として、音声入力などによる入力負荷の
軽減が有効かもしれないと紹介しつつ、専門家らはこうした機器の累積使用
時間が長くなる若年者の間で、今後RSIの発症率が増えるのではないかと
指摘。
さらには、携帯端末の過剰な使用が、長期的には精神面でも悪影響を及ぼす
のではないかとの懸念も示されている。
2006年の英放送局「BBC」のニュースでは、すでに6歳から携帯端末を
使用し続け、腕の痛みを訴えた女児の様子が伝えられている。
女児は親の介入にもかかわらず、毎日30通ものメールを送り続けた結果、
8歳でRSIと診断。
同ニュースでは、英国カイロプラクティック協会によるRSI予防のアドバイス
として、「椅子の肘かけやテーブルを利用して首や肩への負担を減らす」
「定期的に休憩を取り腕や手首をマッサージするほか、入力する手を入れ
替える」なども取り上げている。
(編集部)
http://kenko100.jp/news/13/02/06/01