[改変エイズウイルスで小児白血病の治療に成功、「家族の世界変えた」と両親]
(AFP=時事 2012年12月19日)
【AFP=時事】
米ペンシルベニア州のフィラデルフィア小児病院の医師らは先週、「意外な」
協力者を小児に初めて使った治療方法で、白血病で余命わずかとみられていた
7歳の少女の命を救うことに成功したと発表した。
協力者とは、遺伝子操作を行ったヒト免疫不全ウイルス(エイズウイルス、
HIV)だ。
小児がんが専門の小児科医で、治療を担当したスティーブン・グラップ氏らに
よると、約2年にわたって化学療法を続け、再発を2回繰り返したエミリー・
ホワイトヘッドさんは、回復の見込みが「薄かった」という。
そのため今年2月、「毒をもって毒を制す」実験的な治療プログラムを実施
することにした。
後天性免疫不全症候群(エイズ、AIDS)を引き起こす特性を取り除いた改変
エイズウイルスを使い、医師らはエミリーさん自身の免疫細胞を、白血病に
打ち勝つことができる細胞に変えて治療に使用。
エミリーさんは、正式には「CTL019治療法」と呼ばれるこの治療を受けた
わずかな患者の1人であり、最初の小児患者だ。
病院は、この治療法がまだ「特効薬」と呼べる段階にはないことを強調して
いるが、エミリーさんの場合は少なくとも、劇的な成功といえそうだ。
グラップ医師は、治療の過程においてエイズを発症する危険はまったく
なかったと説明している。
治療は完了しており、同医師らによれば、特に良かったことは、強化された
免疫細胞が継続的に「患者の体内に残り、がんの発現を防いでいる」ことだと
いう。
同医師は病院のホームページで、細胞療法は最終的に、現在はがんを防ぐ
ための最終手段として一般的に採用されてされているものの、治療費が高く、
痛みを伴う骨髄移植に取って代わる可能性があると述べている。
エミリーさんの両親は病院に対し、治療の成功は家族の世界を変えたと話した
という。
髪の毛がすべて抜けてしまう化学療法を受ける代わりに、エミリーさんは
また学校に通い始め、愛犬のルーシーと散歩をしたり、サッカーをして
遊んだりしている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121219-00000021-jij_afp-int