[スティーブ・ジョブズ氏の死因“神経内分泌癌(がん)”について専門医が語る]
(HelathDay News 2011年10月5日)
米アップルの創業者で、パソコンをはじめiPod、iPhoneおよびiPadを世に
送り出してきたスティーブ・ジョブズ氏が10月5日、56歳で死去した。
同氏は2004年に膵癌(がん)の手術、2009年には肝移植を受け、8月にCEO
(最高経営責任者)を辞任するまでに療養のため3回休職していた。
ジョブズ氏は、2004年から神経内分泌癌と呼ばれる稀な形態の膵癌で闘病を
続けており、米モンテフィオーレ・アインシュタイン癌治療センター
(ニューヨーク)の Steven Libutti博士は、この癌が同氏の死因であったと
推測している。
「手術で腫瘍を切除した患者に癌が再発する場合、多くは肝臓に生じる。
ジョブズ氏が肝移植を受けたのも、おそらくそのためである」とLibutti氏は
述べている。
膵癌の専門家である米ノースショアLIJヘルスシステム(ニューヨーク州)の
Craig Devoe博士によると、神経内分泌癌は米国で年間2,000~3,000例しか
みられない珍しい癌であり、膵臓を侵すものはさらに少なく年間1,000例に
満たないという。
米マイアミ大学ミラー医学部臨床外科教授のDavid M. Levi氏は、この癌に
ついて「移植がある程度まで有効な数少ない癌の1つでもある」と述べる。
ジョブズ氏の場合、癌は膵臓で始まり、肝臓に転移したことから肝移植が治療
オプションとなった。
よくみられるタイプの膵癌では、患者の余命が一般に診断から1年未満である
のに対し、神経内分泌癌の予後は比較的良好だが、最終的には再発することも
多く、再発患者の多くは死亡する。
肝移植を受けると免疫抑制薬が必要となり、癌患者にとってはその作用が
問題にもなるという。
神経内分泌癌の原因はまだ明らかではない。米食品医薬品局(FDA)は昨年
(2010年)、スニチニブ(商品名:スーテント)およびエベロリムス
(サーティカン)の2薬を同疾患治療薬として承認している。
ジョブズ氏は、2005年に米スタンフォード大学の卒業生に向けたスピーチで
次のように語っていた。
「誰も死にたくはない。天国へ行きたい人でも、そこへ行くために死にたくは
ない。だが、死はすべての人の到達地である。死から逃れた人は1人も
いない。」
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