最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学
テーマ: 「本当は怖い口臭~臭う悪魔~」
T・Mさん(女性)/67歳(発症当時) 無職
2年前に夫を亡くして以来、一人で暮らしてきたT・Mさん。
ある日、遊びにきた孫娘から口が臭いと指摘されてしまいました。
最近では人と接することが少なくなり、日々の歯磨きも怠りがちになっていた
T・Mさん。
さっそく歯磨きを始めたところ、歯茎から血がにじんでしまいました。
孫娘に嫌われないよう、ちゃんと歯を磨こうと決心したT・Mさんですが、
その後も気になる異変が続きました。
<症状>
(1)口臭
(2)歯茎からの出血
(3)食後、声がかすれる
(4)倦怠感
(5)食欲不振
<病名>誤嚥性肺炎
<なぜ、口臭から誤嚥性肺炎に?>
「誤嚥性肺炎」とは、通常、食道を通るべき食べ物が誤って気管から肺に
入り、そこに含まれる雑菌などで起こる肺炎のことです。
夫を亡くして以来、気ままな一人暮らしを送るうち、日々の歯磨きを怠る
ようになっていたT・Mさん。
「口臭」や「歯茎からの出血」といった症状にみられるように、いつしか
彼女は歯周病になっていました。
その結果、口の中に肺炎を引き起こす様々な雑菌が繁殖してしまったのです。
ではT・Mさんの場合、なぜ口の中の雑菌が肺にまで侵入してしまったので
しょうか?
普段、私たちは物を飲み込む時、脳から送られた指令で喉頭蓋と呼ばれる弁を
閉ざし、気管に入り込むことを防いでいます。
ところがT・Mさんは、高齢であることに加え、自覚症状のない小さな
脳梗塞を引き起こしていたため、脳からの指令がうまく伝わりませんでした。
その結果、物を食べるときはもちろん寝ている時にも、口の中にある大量の
雑菌が唾液とともに肺の中に流入。
ついに炎症を起こしてしまったのです。
しかし、高齢のため強い症状が出ず、肺炎になっていることに気付かなかった
T・Mさん。
でも実は彼女の場合、とても分かりやすいサインが出ていたのです。
それこそが、あの「食後に声がかすれる」という症状。
これは誤って気管に入った食べカスが声帯の上に付着し、一緒に振動して
起きたもの。
食後にだけ声がかすれるのは、誤嚥性肺炎を疑う重要なサインなのです。
ところがT・Mさんは、これも大したことはないと放置。
ついに炎症は、片側の肺の大半に広がってしまったのです。
幸いギリギリのところで発見されたため、T・Mさんの病は大事に至らず
済みました。
この病の予防で最も大切なのは、何と言っても、口の中を清潔にしておく
こと。
事実、誤嚥性肺炎の発症率は、口腔ケアを行わないと、およそ2倍になると
いうデータもあるのです。
http://asahi.co.jp/hospital/