最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学
テーマ: 『本当は怖い発汗~悪魔の暴走~』
Y・Tさん(女性)/51歳(発症当時)主婦
姑が骨折し寝たきりの生活になったため、毎日介護に明け暮れていたY・T
さん。
結婚して30年、特に嫁姑のいさかいもなく、仕事をしながら子育てが出来た
のも理解のある姑のおかげと心から感謝していました。
そんな彼女に異変が現れたのは、介護を始めて2ヶ月ほどたった秋の初め頃の
こと。
涼しくなってきたのに身体がほてり、大量の汗をかいてしまいます。
翌朝、そのことを姑に話すと「更年期じゃないか」と言われたY・Tさん。
症状もそのせいだと思い込んでいましたが、介護中心の生活になって1年後、
さらなる症状が襲いかかります。
<症状>
(1)発汗
(2)疲労
(3)イライラ
(4)食欲増進
(5)ハイテンション
(6)吐き気
<病名>甲状腺クリーゼ
<なぜ、発汗から甲状腺クリーゼに?>
「甲状腺クリーゼ」とは、甲状腺ホルモンが、突然、爆発的に分泌される
ことにより生命の危機に瀕する病。
いったん発症すると、吐き気、頻脈、呼吸困難などの症状が立て続けに襲い、
最悪の場合、心不全を起こし死に至ることも少なくありません。
原因は未だ、はっきりとはわかっていませんが、そのきっかけとなるのは
ストレス。
肉親の死や、手術など、大きなストレスのかかる出来事をきっかけに甲状腺
ホルモンが暴走し、発症すると考えられています。
Y・Tさんの場合30年余りも共に暮らしてきた姑の死が、甲状腺クリーゼの
引き金を引いたと考えられるのです。
では、その前に起きた「発汗」「疲労」「イライラ」などの症状は、一体
何だったのでしょうか?
実は、これこそが甲状腺クリーゼの発症にかかわる重要なカギ。
あの時、Y・Tさんは既にこの病の前段階とも言える、もう1つの病気にか
かっていたのです。
その病とは・・・「バセドウ病」。
バセドウ病とは、甲状腺が異常をきたし甲状腺ホルモンを過剰に分泌、様々な
症状が全身に出る病。
そして、甲状腺クリーゼ患者の90%は、このバセドウ病から発症しているの
です。
しかし、Y・Tさんは、自分がバセドウ病にかかっていることに全く気づいて
いませんでした。
なぜなら、自分が更年期障害だと思いこんでいたため。
実は「発汗」「疲れやすい」「イライラ」など、バセドウ病の症状は「更年期
障害」とソックリ。
よく知られている代表的な症状「眼球の突出」が出ない場合も多く、Y・T
さんのような50代の女性は、往々にして更年期障害のせいだと間違えがち
なのです。
実際、潜在的な患者を含めると、50万人はいると言われるバセドウ病患者の
うち、半数以上が自分の病に気づいていないと考えられています。
Y・Tさんもまさにその1人。
こうして彼女は、あの姑の死をきっかけに、甲状腺クリーゼを発症して
しまったのです。
幸い、Y・Tさんは懸命の治療のおかげで、一命をとりとめることが出来
ました。
バセドウ病は、血液検査で甲状腺ホルモンを調べれば、すぐに発見することが
できます。
勝手に更年期障害だと自己診断せず、バセドウ病を早期発見する事こそ、
甲状腺クリーゼの何よりの予防法なのです。
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