(東南アジア、アフリカ、旧ソ連・ロシア、モンゴルでのコンサルティングの経験から)

 

私は、経験から、現在の理解に達するまでに、何十年もかかったことがある。

 

人類の問題は、「リーダーシップを決める仕組み」である。

 

最初にヒントを得たのは、40年以上もの昔、私が20歳代の当時、Dr. Michael Higgins (当時、私の英語会話の先生、後に山口大学教授)からのものだ。

 

ある休日、雑談していたら「『選挙の仕組み』が悪いので、世界は、なかなか良くならない。良い方法があるのだが。」と、彼は、言う。

 

「なぜ、あれほど愚かなことを世界中でしているのか?」と。

 

それは、欧米が開発した普通の「投票による選挙」のことだった。

 

彼の慨嘆は、彼が属するバハイ教(宗教)でも企業でもリーダーを決める際、話し合いで決めているにも関わらず、

 

政治家の決め方は、政策も人についても、何ら深い理解もなく、有権者は、投票していると言うものだった。

 

私が20歳代、技術者として働いていた西部石油(当時世界最大の組織 Royal Dutch/ShellのOperating Company)は、山口県で衰退した石炭産業の代替として生まれた。

 

元首相の岸信介が創設に関与し、その後、私は、彼の通訳官 近藤藤太(渉外室室長;神田昌典著「人生の旋律」で描かれる)から、国際交渉の指導を受けた。

 

今、理解できるのは、彼らが、石油産業を創業するために、英蘭Shell Group に依頼した理由だ。

 

 

Shell Groupの元の貿易会社(Samuel 商会⇒Rising Sun)を横浜で創業したのは、明治時代初期、18歳で、片道切符を父親からもらい、来日した英国系ユダヤ人:マーカスであった。

 

彼のユダヤ人脈から日本政府は、日露戦争までの戦費を調達した。

 

日本銀行の副総裁、高橋是清が、外債1億円を英国で販売できなければ、日本は、戦争を戦えただろうか。

 

当時日本政府の予算は、3億円に満たなかった。

 

軍艦など武器製造技術の不十分な日本は、最近の政府予算:120兆円を考えれば、40兆円分の外貨を手に入れ、日露戦争を戦ったことになる。

 

(昨年からNATO基準;GDPの2%:約10兆円の防衛予算で騒いでいる日本の国会は、平和ぼけであろう。)

 

ユダヤの金融業者にとっては、地域間や民族間の戦争は、金儲けのチャンスである。

 

オランダから大英帝国に制海権が移った英蘭戦争では、大英帝国がオランダを攻撃した際、オランダ国内の多くの武器倉庫の中は、空であった。

 

武器を必死で欲しがる大英帝国海軍に高値で売り、しこたま儲けたのは、オランダ商人であった。

 

高利の戦費費用の調達もあった。

 

しかし、金融業者=悪玉論は、的を射ていない。

 

両軍を顧客とし、「死の商人」と言われようとも、彼らには、金融や武器取引がビジネスなのだ。

 

彼らは、リスクをみながら、需要に応じ、ビジネスをする以外の選択肢はない。

 

歴史上、彼らは、選んで金融業を開始したのではない。

借金取立てのあるつらい仕事を押し付けられたのだ。

 

近年、財務省・文科省の研究費削減政策で日本の多くの大学教授と日系高度機器メーカーが、中国政府の公的研究予算に群がっている。

 

研究者の人生にも、時間に限りがある。

優秀な研究者なら、各々の人生で、何としても達成したい課題があるはずだ。

 

日本の学者もメーカーも、仕事に忠実なだけで、

愚かさは、日本の政治、文科省、財務省にある。

 

(日本の大学の学長の8割は、医理系で、経理/通貨制度に無知で、財政政策を批判する知恵はないのだろう。)

 

日露戦争では、初戦から日本軍の勝利が続き、日本の信用が上がるに従い、日本政府の外債の利息は、どんどん下がった。

 

若い頃、芸者の太鼓持ちをしていた高橋是清は、柔軟性を発揮して、次から次により低利の外債を売ることで、債券全体の利息を下げることに成功している。

 

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シェルの創業者マーカスは、明治初期、18歳で英国から日本に来て、湘南海岸で漁民とともに、網を引いた。

 

そして、日本の貝殻をロンドンの父親経営の店に輸出したことが始まりである。

 

後に彼は、ロンドン市長にもなり、稀代の成功者ともなった。

 

仕組み(制度)が、良ければ、組織も社会もよくなる。

 

しかし、日本国内の外資系石油(精製)会社は、英蘭の植民地政策から得た莫大な利権をバックに、運転と技術を除き、日本人の我々には、改善の余地が少ない。

 

稼ぐ仕組みの完成度が高ければ、批判する気にもなれない。

事実、社内で英蘭を批判するものなど、皆無だった。

 

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一方、政治経済について、これほど、皆が、苦労し、騒いでいるのに、世界中、政治学者や経済学者は、何をしているのだろう?

 

たいていの経済学者は、何をしているか、私には、分かる気がする。

 

下のように、事実から異なる前提で空疎な議論から論文を作成している。

 

 

日本の政治家を批判しても、現状の仕組みと、土台が悪いため、政治は、良くなるわけがない。

 

現在の政治家は、制度欠陥によって、無知におかれる。

 

日本のコロナ禍で急増した自殺者数と死者数など、気にも留めない。

 

私は、米国に留学時、20歳代(MBAは、平均26~27歳の学生)の自由で豊かな米国人らの優秀さを見た。

 

 

ビジネススクール(Darden BS)の学生の3割は、理系で、技術者、芸術家、プロのスポーツマン、営業、税理士、弁護士、軍人他、意欲的な青年男女が、全米一、激烈と言われるプログラムに学んでいた。

 

鍛えがいのある若い人材を集めて、徹底的に精神と知能を鍛える。

 

現在、彼らは、50~60歳代で、多くが組織の幹部だ。

 

しかし、米国の大統領候補の討論を見て、世界中が落胆してきた。

 

その根本理由は、「大きな会議」(演説もメディアの討論も同様)を皆で目指し、「大きな会議」ができれば、満足すべきと勘違いしているためだ。

 

「大きな会議」とは、肝心なことについて、議論も理解もせずに終わる会議である。

 

ロシアや北朝鮮、そして、米国や日本だけではない。

私たちの日常、見られる殆どの会議のことである。

 

参加する個々人に、議論の時間が与えられないためだ。

 

でも、たいてい自由陣営の国には、「言論の自由」の保証がある?

 

冗談ではない!

 

日々、駅立ちする政治家もそうだが、自由に話せても、

    それを誰も聞いていなければ、

 

それは、「言論の自由」のある政治社会環境とは言えない。

 

貴方が、これまで「日本には、【言論の自由」がある。」と信じているなら、よく考え詰めていないだけであろう。

 

現代の世界に、「言論の自由」のある国は、ない。

 

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別の話をしよう。

 

かつてドイツのヒットラーは、高い演説能力で、のし上がった。

 

彼の演説は、狂気に近いものだったが、党の資金集めの「見せモノ芸」(Skill)としては、たいへん有用であった。

 

当時、ナチス党幹部により彼の演説は、2年間、禁止されたことがあったように、ヒトラーの問題を理解していた幹部もいたのだ。

 

「大きな会議」は、TopからBottomへの情報伝達(Top⇒Down)として、必要だが、

 

「大きな会議」だけでは、思考にロスがあり、リスクがある。

 

人類による、近年までの技術の発展と適用は、素晴らしい。

 

しかし、「大きな会議(Top⇒Down)」偏重が、全人類を不幸にしている。


世界で、ほぼ共通の問題。

 

それらは、

 

1.リーダーシップを決める仕組みと、

2.政府による財政の仕組み(注2)であり、

 

これらの問題を有権者が、まず、理解する必要がある。

 

 

注1:「大きな会議」とは、質問も議論もできない会議である。対して、私は、「小さな会議(誰でもいつでも質問し議論できる)」をコンサルティングの中心に置いてきた。

 

最適化マネジメントの観点からは、厳しい環境でしか、生きられなかったロシア・旧ソ連地域の人々でも、

 

幹部間で繰り返される議論が、問題を解決に導く様子は、彼らには、感動の経験であり、私には、それが、新鮮な驚きであった。

 

「小さな会議」のメリットは、解決策に対して参加した人々が、Ownership(自分のものとして)を感じていることである。

 

この手法は、一見、時間がかかるように見える。

 

しかし、「小さな会議」の後の戦略実施段階では、組織全体が高効率で動くので、高い成果を上げるのである。

 

注2: ご参照