今、企業の人事担当者の悩みの種のひとつが、メンタル不全による休業者の増加です。
よく報道されていますので、みなさんも耳にしたことはあると思います

社会経済生産性本部の調査によると、「こころの病」を理由に1ヶ月以上休業している人がいる上場企業は74.8%に上るそうです

ただ、これはメンタル不全についてちゃんと理解をすると、(上場企業はある程度の多くの社員数在籍する場合が多いので)まったく驚く数字ではありません。
メンタル不全は、決して特別な病気ではないのです。
これから何回かに分けて、意外と知られていないメンタルヘルスについて、誤解を恐れずにわかりやすくお話したいと思います。
さて、第1回目の今日は、私達をとりまく環境についてお話しましょう。
「日本の今」を数字で見ていきましょう。
と言っても、なにも暗い感じで話したくはないので、まずはクイズです

交通事故による年間の死亡者数は次のうちどれでしょう?
①5,000人
②10,000人
③15,000人
わかりましたか?
少し前のニュースでやっていたので、記憶にある方もいらっしゃると思います。
正解は、①5,000人 です

警察庁交通局によると、昨年1年間の交通事故死亡者数(事故発生から24時間以内)は、5,155人(前年5,744人/△589人、△10.3%)でした。
「交通戦争」と呼ばれた昭和40年代には、死者が16,000人を超えていました。
しかし、年々ゆるやかに減少し、特にここ数年では、飲酒運転に対する罰則が厳しくなったこと、警察の努力もあり交通事故の死亡者は減っています

さてさて、では、次の問題です

自殺による年間死亡者数は次のうちどれでしょう?
①5,000人
②10,000人
③30,000人
どうでしょう?
先ほど、交通事故による死亡者は5,000人でした。
正解は・・・
③30,000人です

交通事故と比較するとびっくりしませんか

警察庁の統計調査によると、我が国の自殺者数は、1998年以降、10年連続で30,000人を超えています

自殺者の内訳は高齢化の影響や原因動機の分析など、いろいろな角度から見ないと一概に「人数が増えた」「そういえば、うつ病も増えているニュースを聞いた」⇒「精神疾患で自殺が増えている」とすぐに結びつけるのは危険です。
ただ、内閣府から委託された京都大学の調査(自殺の経済社会的要因に関する調査研究報告書)によると、98年以降で急増した自殺の多くは「経済生活問題」に起因したものであると考えられています。
また、戦後の経済状況の変動と自殺者数には相関関係があることがわかっています。
今の私達の労働環境は、グローバル化、競争の激化、IT化による情報量やスピードの増加、成果主義など大変厳しいものになっています。
そして、これを書いている今はまさに「不況」・・

そんな中、働く人ひとりひとりが感じるストレスは増えています

ちょっと古いですが、労働省の調査(「平成14年労働者健康状況調査」)自分の仕事や職業生活に関して「強い不安、悩み、ストレスがある」とする労働者は61.5%となっています。
その前の調査でも6割を超えていました。
また、下の図は次回以降の内容に関係してくるのですが、仕事でのストレスがある労働者が挙げた具体的なストレス等の内容としては、「職場の人間関係の問題」35.1%、次いで「仕事の量の問題」32.3%、「仕事の質の問題」30.4%、「会社の将来性の問題」29.1%の順となっています。
(細かく見ると仕事の「質」と「量」の順番は年代で変わります。)

さて、これまで見てきたように、「日本の今」を数字から見ると、「自殺」の問題は大きな課題のひとつです。
そして、経済、労働環境にもそのヒントはあるようです。
もちろん、これだけで日本を語ることはできないし、働くことについてもいろいろな見方があることは事実です。
ただし、メンタルヘルスの問題を語る上で、まず大きな視点のひとつとして認識しておくにはいいでしょう。
次回は、いよいよメンタル不全について理解していきましょう

決して、他人事ではないので、ちゃんと理解しておきましょう
