先日、父方の大叔母の退院祝いに行って来ました。私の父方、母方双方の祖父母は既に鬼籍に入っています。今回訪ねた大叔母は、父方の祖母の妹にあたり、家族の中では戦争を経験した世代の最後の一人になります。
80代後半の大叔母は、からっと裏表のない性格で、家族で営んでいた町工場を女だてらに切り回す、チャキチャキとした行動力のある格好よい女性です。その素質は曽祖母→大叔母→私に世代を越えて受け継がれているらしく、大叔母は小さいころから私の事を可愛がってくれました。
大叔母の退院祝いのプレゼントには花束を選びました。新しい街に引っ越すと、お店の選択って迷いますよね。ここ一年ほど、冠婚葬祭に関わるお花を用意する機会が多く、遊牧民のようにいろんなお店を放浪していましたが、ようやくよいお店にたどり着きました。
『大阪』、『花束』の言葉でGoogle先生にお伺いをたてると、出てくるキーワードは『北新地』。
つまり、東京だと銀座、名古屋だと栄、福岡だと中洲にあたる大阪の歓楽街です。夜の蝶(もう死語?)の居るところには胡蝶蘭を始めとして、女性を引き立てる花が必要で、自ずと花屋の激戦区になると言う事でしょうか。
私が通っているのは北新地にほど近い、梅田の第3ビル地下の花屋さん『ベビーブレス』。お店自体は青山フラワーマーケット的な洗練された雰囲気ではなく、どんな街にも一軒はある町のお花屋さんといった庶民的な店構えです。
しかし、ここのお店は本当にコスパが素晴らしく、3000円でどーんと重みのある花束を用意してくれます。お客さんも、仕事帰りの会社員から、北新地の黒服のお兄さん、同伴前?のソワソワした雰囲気のオジサマまで、なんともバラエティ豊かで人物ウォッチングするにも興味が尽きません。
三十代後半を過ぎた頃からでしょうか、何かを購入する時にお店の方に気楽に相談が出来るようになりました。二十代の頃は全て自分が決めないと気が済まなかったんですが、誰かに判断を委ねるというオプションを手に入れると、生きるのが少し楽になります^_^
さて、花束を購入する際には、もちろん店員さんと意見のすり合わせをします。サービス業の女性って、お店に入ると最初はにこやかによそ行きの笑顔で迎えてくれますが、何かを相談し始めると顔つきがキュッとプロに変わる瞬間があって、私はその深く考えこんだ顔つきがたまらなく好きです。
この日対応してくださったのは、六十代とおぼしき女性店員さん。退院祝いのお花をお願いしたいというと、色味は地味な方が良いのか?病状は重かったのか?と立て続けに質問を受けます。まるでお医者さんの問診を受けているような雰囲気でした。
確かに病状によっては、華やか過ぎると気遣いがないと悪く取られることもあるんだろうなぁと、粛々と問診?にお答えしていたのですが、店員さんが答えを出したのはこの質問でした。
『大叔母さんはおいくつですか?』
私が八十代後半だと答えると、名言がでました。
『じゃあ、ピンクの花束で決定ね』
『女性はね、幾つになってもピンク色の花束は嬉しいもんなのよ』
派手すぎないかしらと少し躊躇しつつ花束を持って行ったところ、大叔母は『春ね〜』と目を細めて喜んでくれて、早速寝室に飾ってくれました。私は大叔母が元気に家の中を歩き、楽しげに昔話をしてくれる様子を見てほっとしました。
八十代になってもピンク色の花束は女心に響くんですね。プロの見立ては正しかった。また一つ勉強になった春の一日でした。










