馬券に対する課税問題でまず所得税法違反で脱税とされた刑事事件について最高裁まで争われその判決が出された。
地裁判決のときからマスコミ報道では「外れ馬券も経費認定」の文字が躍りまるですべての馬券が経費認定されるかのような錯覚を起こして「これで安心して馬券を買える!」という声もちらほら耳にした。
しかしながら傍聴後の拙ブログ(
「俗にいう馬券裁判の判決傍聴」)にも書いたがあの判決文は「一般的な馬券購入は一時所得であくまで『本件については』雑所得」であった。
その後高裁・最高裁と大筋で地裁判決を覆すことなく判決は確定した。
このことを受けて国税庁は早くも動きを見せた。
3月25日にe-gov(電子政府の総合窓口)で公示され4月24日締め切りとなっている
「『所得税基本通達の制定について』の一部改正について」の意見募集がそれである。
この中で所得税法34条の法令解釈について現行規定を見直すことが発案されている。
それは前述の最高裁判決をそのまま受けた内容となっている。
つまり一般競馬ファンが望んでいた方向ではなくなんともありがたくないシロモノになりそうだ。
通達改正案の記載は次のとおり。
<旧規定>
法第34条((一時所得))関係
(一時所得の例示)
34-1 次に掲げるようなものに係る所得は、一時所得に該当する。
(2)競馬の馬券の払戻金、競輪の車券の払戻金等
<新規定>
法第34条((一時所得))関係
(一時所得の例示)
34-1 次に掲げるようなものに係る所得は、一時所得に該当する。
(2)競馬の馬券の払戻金、競輪の車券の払戻金等(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除く。)
(注)1 馬券を自動的に購入するソフトウェアを使用して独自の条件設定と計算式に基づいてインターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げ、一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有することが客観的に明らかである場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として雑所得に該当する。
2 上記(注)1以外の場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、一時所得に該当することに留意する。
これを見る限り「ソフトを使用してネットで大量かつ自動的に的中・不的中関係なく購入し多額の利益を上げ経済活動とみなされるもの」については雑所得。
それ以外の馬券購入は一時所得とすると明文化されることになる。
・このレースは難解だから「ケン」しよう。
・このレースは銀行レースだから厚めに購入しよう。
・今日は負け続けているからこのレースは穴狙いで行こう。
・今日は結構浮いてるからこのレースは1000円じゃなくて3000円買おう。
こういった買い方やそもそもネットを利用せずに競馬場や場外で買う場合は雑所得ではない(外れは経費として認めない)よ!ということである。
多くのファンは外れも当たりもあってそのトータルで馬券購入を続けている。
そして当然のことながら的中したから即課税ではなく外れ馬券は経費じゃないか!と思っているに違いない。
しかしこの内容ではほとんどの馬券愛好者の購入は一時所得で課税されることになって外れ馬券は経費と認めないということではないか。
このそれぞれの認識の大きな隔たりの中で今後eーgovで意見集約された結果どのような通達になるのか?
また通達が施行されて以降それを受けて各主催者はどう考えていくのか?
どうやら課税を気にせず安心して馬券を買えるときが来るまではまだまだ遠い先のようにも思える。