アッシェンバッハの彼岸から -23ページ目

けいちょうふはく


gangway
BGM:アマゾンでは買えないようで。




わたしに限っていえることだけれども、3年に1回くらい、ネオアコとかニューロマみたいな、

ウンザリするぐらい軽佻浮薄で甘甘な音楽がブームになることがあって、いまがそれなのである。


で、ヘビーローテーションなのがGangwayのMountain Song。

これがどんな唄かといえば、はじまって早々安い生クリームのケーキみたいにチープで楽しくて、そのくせ測ったみたいに的確なのが、いいのかわるいのか気持ちがいい(コンピュータですからね)。

それに、資本主義大国日本では、あとひと月もしないうちに、クリスマス商戦が本格化しますから、どうでしょ!!みたいな無理やりなロマンチックさスイートさがある。

一見、安いケーキみたいなのだけれど、これが悪くない。


恋が、したく、なる、の、でしょうか?

そんな感じに根拠もなくステキな、主体性のない甘さ。お砂糖の甘さ。

例えば、雪景色のなかに男女が笑顔で立っていて、笑顔の理由などはどうでもよろしくて。

この女の子はモヘアのニット帽にマフラー姿の美少女で、加藤ローサあたりはキレイなぶん中身がなさそうな感じがちょうど良く、男の子は誰でもいいが若くて痩せて色が白くて美しくて、こちらも現実感に乏しければ乏しいほどよろしい。


書割めいた背景の、あっちのほうには北欧ふうの、きちがいじみた大きさのクリスマスツリーを従えた小さな家があり、窓はオレンジいろに暖かく、空からは、CGでできた雪の結晶が、くるくるくるくると回りながら降ってくる。

雪のなかの男女は、ジーコジーコとぜんまいを巻いた分だけ回転するオルゴールのように、笑顔で抱き合い続ける。ぜんまいを巻くたびに。

1980年代半ば。楽しかったのかなあ?その後の長く暗い時代を予期してかせずか。

わからないけれど、とりあえず甘いものは別腹なのだろう。いまも昔も誰だって。