アッシェンバッハの彼岸から -19ページ目

死んでもいい!partⅡ

思えばわたしと彼との出会いはずいぶん昔のこと。
『恋する惑星』の麗しすぎる警官姿(+ランニング&ブリーフ姿)にホレまくって以来、15年。

彼ひとすじに歩んだ苦節の15年。


そしてこの1年。

神の領域に暮らす彼に、なんと2度も謁見する機会を得たのである。
ちょうど一週間ほど前、日本でも大ヒットした戦国スペクタクル続編のために来日。
主役だし、世界的なスターだからテレビやら雑誌やらの取材がみっしり詰まっているに違いない。でも。

末代まで呪いそうな顔で宣伝さんを泣き落とし。最終的には折れてくれた。

二度目の謁見が叶ったのである!!


しかも、そこでわたしは命知らずの賭けに出たのであった。



Yumeji’s Theme
梅林茂 NATALIA IZAWA
B00005HU9H


その日。今回も当然、脳内BGMはコレ。

夏とおなじ、都内某高級ホテルの取材部屋に現れた彼は、夏よりもひとまわり引き締まって精悍になった感じ。
聞けば次回作のために、毎日3時間ものトレーニングを欠かさないのだとか。
さておき、彼は今回もスタイリストのセンスのなさを遺憾なく露呈。

シャツとジャケットとパンツのうち、どれか1つくらいは無地にするべき柄on柄on柄スタイル。目がチカチカしたのは、スターオーラのせいではなかろう。
と、スタイリストがどんな服を持ってこようが文句ひとつ言わず身に着けているさまが目に浮かぶ彼は、相変わらず、ベネチアやカンヌで評価されまくってるとは思いがたいほど、謙虚な姿勢。柔らかな物腰の紳士であった。
そして、(ここ日本人と違うところだけれど)、話をしながらあの、とてつもなく魅力的な黒い瞳で相手の目をまっすぐに見つめるのである。おまけに、口元にはあの笑みをたたえながら。
話を伺いながら(とはいえ広東語なんて一言も理解できないが)窒息寸前であった。


で、最後にわたしは、生涯の賭けに出たのである。

それは、彼にこのでかくなった腹を撫でてもらおうという賭け。


インタビュー終了後、すかさず右手を差し出すと、握り返してくれた彼。

矢継ぎ早に、「あのっ、触ってくれませんか?!」と中学生英語で挑むわたし。


すると彼。

「ん?・・・おお・・・!(満面の笑顔)」

このでかい腹をそっとそっと、撫でてくれたのである!!

その上、あのとんでもなく魅力的な目で微笑みながら、

「おめでとう!男の子なの?女の子なの?」と話しかけてくださった。

しかも、広東語が分からないわたしのために英語で。

なんという気遣い。世界的な俳優とは思えない。


しかしである。

そのときのわたしは、今にも鼻血が吹き出るんじゃないかってぐらい、全身の血がすべて頭に上っていた。

英語と広東語の違いすらわからなかった。


で、”Congratulations!”を中国人通訳に訳してもらった。


中1か!!!



ちなみに腹の中のギャング、性別はわかっていない。

「ええと、どっちだろうがチウワイと名づけるつもりです日本人ですけれども!!」

と全力で答えたわたしに大笑いしながら、彼は隣の部屋へ消えて行った。


そういえばこの日のインタビューの中で「信じ続ければ夢はかなう」と、なんだか『ラスト、コーション』な彼らしからぬ少年ジャンプめいたコトバを聞いた。

人生30余年にわたって夢とか信念だとか努力とかいうキーワードを嫌悪してきたわたしであるが、実際は、意外とその通りなのかも。

だって15年も思い続けて、ようやっとお目にかかることができたんだから。