映画日記2024.106.円谷映画祭2024浪漫のものがたり
を観た。
初代ウルトラマンシリーズの中でも、科学の発達により蘇った怪獣を扱ったストーリー3本を上映。最近観た「カミノフデ」
を思い出した。当時の特撮は魂を感じる。そう言えば子供の頃にジオラマが人気あった。あれも特撮の影響だと思う。
これが「子供向け」だったなんて、今では隔世の感がある。
時代の流れと言えばそれまで。それを前提に初代ウルトラマンシリーズの作風がこうなった理由を考えていくと、やはりまずは「初代」だからということが思い浮かぶ。「初代」だから、何が子供にウケるかが分からない。だからとにかく自分達が作りたいものを作って、反応を見ながら進めて行こうと考えた。
次に思い浮かぶ理由は、スポンサー。ウルトラマンは武田薬品一社がスポンサー。ウルトラマンが赤い理由も多分武田薬品に由来すると思う。武田薬品がスポンサーだから、科学技術について考える内容の作品が多くなったのかなと思う。また、武田薬品は玩具メーカーではない。だから今みたいに玩具を売るために複数のウルトラマンを出せとか、様々な変身バージョンを作れとか干渉してこない。それもいい方向に働いたと思う。
そして最後の理由、それはやはり「戦争」。当時の特撮やアニメは戦争を直接経験して、生き残った人達が作った。だから無意識にでもその経験が作品に入ってくる。それが皮肉にも作品を面白くすることに繋がっている。だから戦争を経験していない世代が作った最近の作品は必然的に「つまらなく」なる。と同時に現在進行形で戦争を経験しているアメリカの映画が「面白く」なるのも必然なのかもしれない。
誤解のないように言っておくと、戦争を肯定したり勧めたりするつもりは一切ない。ただ、こういうヒーローや戦いを描いた作品に「リアリティ」を吹き込むには戦争が一番なんだと思う。
話を戻して、ネロンガやゴモラの回は子供が活躍する話でもある。今ならPTAあたりから文句が来そうな展開だけど、当時は少年が活躍するヒーローも多々あった。江戸川乱歩の「少年探偵団」なんてその最たるもの。子供達にそんな真似を実際にさせてはいけないのは今も昔も当たり前。だけどそれを作品の中では敢えてさせる。そうやって、子供達にやっていいことと悪いことを教える。今なら最初から見せない。どちらがより良い「教育」か。それを考える意味でもいい作品だと思う。
映画日記2024.105.映画ザ⭐︎ウルトラマンウルトラの星へ!!
を観た。
BGMにストーリー、マスコットにピグモン、更に声優に科学特捜隊のメンバー起用など、初代ウルトラマンつまり原点回帰を意識した作りになっていたんだと改めて実感。
子供向け映画のはずなんだけど、ストーリーは今でも通用する社会派。自衛隊とか集団的自衛権なんかを当てはめると、正に現代の日本に当てはまる。本当に子供向け映画かなと思った。でもこういう子供に「媚びない」姿勢が、当時の様々な特撮やアニメの面白さに繋がっていたんだと思う。
だから、作品自体は相当見応えあって面白い。しかし、TVシリーズも含めて「ザウルトラマン」の評価はあまり高くない。実際、アニメのウルトラマンもあとは「ウルトラマンUSA」と「ウルトラマンキッズ」くらい。
では何故、アニメのウルトラマンは評判があまり高くないのか。それはやはり「アニメ」だからだと思う。ウルトラマンと言えば特撮。そういうファンの意識を変えることは難しかった。あと、特撮だと先駆者で唯一無二の存在だったウルトラマンもアニメになると後発で平凡な作品になる。「宇宙戦艦ヤマト」や「機動戦士ガンダム」など、宇宙を舞台にしたアニメは当時多数存在した。これらの作品と比べたら、やはりアニメのウルトラマンに勝ち目はなかったと言わざるを得ない。
というわけでどちらかというと「失敗」に分類される作品だけど、こういう作品があったから後のティガ、ダイナ、ガイアが生まれたとも言える。レオでスポ根、80で学園ドラマを取り入れるなど、ウルトラマンシリーズも色々と試行錯誤していた時期の作品。長い目で見たら、当時とは違った評価になると思う。
最後に、タイトルは「ジ⭐︎ウルトラマン」に直すべき。こういう間違いも含めて時代を感じる作品。