「アラブの春」10年で民主化は進んだのか? | 52歳で実践アーリーリタイア

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52歳で早期退職し、自分の興味あることについて、過去に考えたことを現代に振り返って検証し、今思ったことを未来で検証するため、ここに書き留めています。

 

 

平日夜10時 BS NHK国際報道2020にて「アラブの春」特集。国際報道2020は、番組最後の締めとなる池畑キャスターのつぶやきが結構ポイントをついていて気に入ってます。でも今回はなし(残念!)。視聴料収入で桁違いのお金が使えるNHKは、全世界に特派員を派遣して独自の取材をしてくれますが、その成果がこの番組に反映されていて、良質なニュース番組としてオススメです。

 

さて、アラブの春から10年。エジプトやシリア、イエメン、リビアなどの失敗事例はともかく、成功したと言われるチュニジアではどうだったのか?


チュニジア人口4億人のうち、半数を占めるという若者の15%以上は、未だ職がありません。取材を受けたチュニジア人は「昔のような表現の自由の制限などがなく、自由を感じられる」とその成果をあげる一方、経済は一向に好転せず「せっかく独裁政権を打倒したのに何も変わっていない」というチュニジア人も。

 

欧州への移民も多く、地中海で遭難したり、行方不明になったりと、辛い状況が続いています。

日本人が有り難がる「メイドインイタリー」製品は、多くが出稼ぎチュニジア人によって作られているともいわれ、実は「メイドインチュニジア」といっても良い製品も多いらしい(日本でも同じ構図ありますね)。

 

 NHKカイロ支局の藤岡支局長によれば、「アラブの春」は、地域の混乱によってISが拡大し、イエメンで内戦勃発し、リビアが分断し、ヨーロッパに大量の難民が送り込まれるなど、地中海世界に混乱をもたらしたといいます。

 

更にアラブ社会の力が低下し、イランとトルコが台頭。これに対抗したアラブとイスラエルが手を結ぶという地政学的な変化を促す一方、アルジェリア・スーダンでは独裁長期政権が民主化によって倒れ、第2のアラブの春が起きているとも。

 

 

日経新聞で興味深かったのは

 

「自由の申し子」ともいうべきフランスのマクロン大統領が、人権団体の勧告を無視して武器売却と地中海世界の安定を優先し、エジプトのシシ独裁政権と交流を深めるなど、真逆の動きで、まさにマキャベリズムを体現。

 

朝日新聞では、アラブの春は「失敗」として当該国の民主化指数の変化を一覧で掲載しているのが面白い。

 

 

このような現実をみると「まずは経済的自由、そして政治的自由」という優先順位だと思いますが、一方で「経済的自由に成功してしまうと、中国やベトナムのように政治権力は固定化し、政治的自由は、ますます難しくなってしまう」という現実もあります。

 

ただ、台湾などの成功事例もあるので、決して悲観すべきではありません。世界に自由が広がっていくことを祈るばかりです。