2020年:超私的推薦図書ベスト5 | 52歳で実践アーリーリタイア

52歳で実践アーリーリタイア

52歳で早期退職し、自分の興味あることについて、過去に考えたことを現代に振り返って検証し、今思ったことを未来で検証するため、ここに書き留めています。

2020年というのは、2020年出版という意味ではなく、2020年に私が読んだ本を対象にした推薦図書、という意味です。哲学・生物学・社会学・政治経済学・心理学系の書籍を中心に、おおよそ80冊ぐらい読んだのですが、以下の書籍は、どの本も読んで絶対損しない本だと確信しています。

 

【1位】21世紀の啓蒙(スティーブン・ピンカー著)

圧倒的ナンバーワンは、2019年12月出版のピンカーの最新著作。「啓蒙主義」(私的には「近代市民社会の原理」と呼んでます)こそ、最も推し進めるべき思想だとして、もう一度この思想に立ち戻って人類社会を前進させようと主張した著作。ファクトフルネスの思考に基づいて、全世界中の論文やデータを駆使しつつ、啓蒙主義に裏付けられた論を展開する、人類に希望を与えてくれる上下巻におよぶ大作ですが「知の巨人とは、まさにこの人のことだな」と改めて再認識させられました。

 

 

 

 

【2位】日本社会のしくみ(小熊英二著)

 

世界を対象にした「21世紀の啓蒙」に対し、2019年7月に出版された本書は、社会学者小熊さんによる日本社会を対象にした著作。とはいえ欧米社会との比較含め、日本社会のしくみは、その雇用形態に端を発しているとの仮説は、ピンカー同様、あらゆる論文や著作を駆使してより俯瞰的に分析しているため、非常に説得力が高い著作となっています。「雇用が社会の仕組みを規定する」というシンプルな仮説は、「21世紀の資本」でトマ・ピケティが「資本収益率は労働収益率に勝る」というシンプルな仮説に匹敵するほど、目から鱗が落ちました。新書大賞2020の第4位だそうです。彼の出世作「単一民族神話の起源」も素晴らしかったので読んでいない方はぜひ。
 

【3位】哲学とは何か?(竹田青嗣著) 

 

 

竹田哲学(本質学)を簡潔に解説した2020年4月出版の竹田青嗣の最新作。最後の社会理論は個人的にあまり同意しませんが、本質学に関しては、フッサールやハイデガー、ニーチェの思想を更に一歩前進させた、現時点で最も説得力のある思想だと私は思っています。その思想を本人が実にわかりやすく解説してくれる著作。初心者でも竹田哲学未経験者でも「世界はこうなっているんだ」とこの感覚(世界認識)がわかるとびっくりすると思います。世界は一変すると思ってもらっても言い過ぎではありません。私はこれで世界が一変しました。

 

【4位】進化しすぎた脳(池谷裕二著)

 

 

2007年出版のブルーバックスですが、今に至っても全く古びていない、というか脳科学的視点で「本質的に物事をみていくとこうなるのか」という感じで、認識論的な哲学と脳科学をクロスオーバーしたような著作。いろいろ脳科学関係の本を読み進めていますが、ここまでわかりやすくて深い著作はなかなかないのではと思います。続編の「単純な脳、複雑な私」も必読です。

 

【5位】人間の本性を考える(スティーブン・ピンカー著)

 

 

 

 

昔から、人間も生き物である以上、生物学的視点から人間を分析するとどのような「生き物」だんだろう、という疑問があって、まさにその疑問にドンズバで答えてくれた著作。これも「21世紀の啓蒙」同様に大作で、上中下巻三冊に及んで読むのに時間がかかりますが、私と同じような疑問を持っている人には必読の著作。こちらも2004年出版で古い本ですが、昔から読もうと思っていてやっと読めたという著作。今でも十分説得力がありますが、一部古い部分もあるのはご容赦。