「娘のトリセツ」黒川伊保子著 ー娘が父親を嫌う理由ー | 52歳で実践アーリーリタイア

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52歳で早期退職し、自分の興味あることについて、過去に考えたことを現代に振り返って検証し、今思ったことを未来で検証するため、ここに書き留めています。

 

 

<概要>

人工知能学者が、脳科学的見地から、お父さんによる娘さんの扱い方・接し方を解説した著作。ベストセラー「妻のトリセツ」はじめ、「夫のトリセツ」「息子のトリセツ」「家族のトリセツ」などに続く家族のトリセツシリーズ最新版。

 

<コメント>

以前、黒川さんの「妻のトリセツ」を読んで、その「あるある」の多さにびっくりしたので、私自身、娘はいないのに兄弟が娘の扱いに困っているのを横目にみて、なぜか気になって「娘のトリセツ」読んでみました。

 

 

すると黒川さんのファザコンスピーチ全開という感じで、ついつい「だから何?」と独り言いってしまいそうでしたが、基本的には男女の性差に基づく脳の機能の違いに基づいて書かれているのは妻のトリセツと同じ。

 

以下印象的な内容をメモ。

 

◼️男は、女と「5W1H」で会話しない(妻も同じです)

黒川さん曰く。男が女と会話するにあたって5W1H的なもの(誰が?いつ?どこで?なぜ?何それ?どうやって?)は「対話クラッシャー」と呼んでいて最も避けるべき話題。これを「問題解決の対話」とも呼んでいます。

5W1H系の質問を、私は対話クラッシャー(潰し)と呼んでいる。この質問を受けると、脳は、心の対話のために使う回路を遮断し、問題解決型の回路が強く発火する。いわば、戦闘モードに入るのである。

だから妻や娘には、絶対「今日何してた」と聞いてはいけません。

 

脳科学的には、男の脳は問題解決型といって狩猟で獲物を取るためのゴール思考が、そもそも先天的に備わっており、目の前のあれこれに注意を向けるよりも、その先の目的に向かって思考するクセがあり、ゴール指向型の「問題解決の対話」を起動しやすいと言います。

 

◼️男は、家族(男女関係なく)と「心の対話」で会話する

心の対話とは、相手に共感を促す対話で、問題解決型のようにその先にゴールや結論があるわけではありません。お互いの何気ない感情をやり取りすることによってお互いの親近感=共感を育む会話です。

 

具体的にはまず自分から話す「話の呼び水」を心がけます。

「話の呼び水」には、3種類ある。「相手の変化に気づいて、ことばにする」「自分に起こった出来事を話す」「相談する」である。

で、もっと細かくいうと

「褒める」:「その服おしゃれだね」「そのスマホケースかわいいね」

→個人的には、加齢臭漂う中年オヤジがこれをやっても娘さんに引かれるだけの感じがするので、もっとうまい方法が必要かも。

 

「気遣う」:「元気ないね。大丈夫?」「疲れていそうだから俺がやろうか?」

→これなら中年オヤジでも素直にできそう。

 

「ねぎらう」:「寒かったでしょう」「重かったよね」

→これもイケる。

 

「感謝する」:相手が自分のためにしてくれたことに感謝の言葉を述べる

→これもできそう。

 

脳科学的には、脳はインタラクティブで活性化するので、自分がすることに相手が反応をすることを欲しており「承認欲求をお互い交換すればするほど親近感が湧く」という構造になっているらしい。

「〇〇しなさい」じゃなくて「〇〇したほうがいいと思うんだけど、どうかな」とか、「早くしなさい」じゃなくて「早くしたいんだけど、協力してくれると助かる」とか

これなら会話が続きそう。まさに「インタラクティブ」です。男にとっては面倒くさいけど仕方ありませんね。

 

◼️娘が父親を嫌う理由

これは面白い。臭いの根拠たるHLA遺伝子は、父親型を引き継ぐらしく、女性は父親から引き継いだ型と違う型に対して最もポジティブに反応し、同じ型に最もネガティブに反応するといいます。つまり自分と同じ型を持った「父の体臭は最も嗅ぎたくない悪臭となって娘に襲いかかる」というのです。

 

逆にいえば「いい匂いだな、と思った男性とは相性がいい」ということで、初対面で男を判断しようとしたら女性にとって男性の匂いは遺伝学的にとても重要だということにもなります。

 

更に

 嗅覚は、「遺伝子センサー」でもある。 動物は、異性の体臭から、「免疫に関わる遺伝子情報」を感知し、子をなすのにふさわしい相手かどうかを判断している。 生殖ホルモンが過剰に分泌している思春期には、このセンサーの感度が一時期、とても高くなる。その弊害で、父親が臭く感じられるのだ。

ということで特に思春期にこの傾向が強くなるといいます。

 

◼️自分が嫌いな娘の行動に素直にその気持ちを表現する

これは効果がありそう。例えば娘さんが遅く帰ったら、正直に自分の気持ちを吐露する。

 

「なんで早く帰ってこないんだ!」「どこ行ってたんだ!」という5W1H対話ではなく、

 

「無事で帰ってきてよかった」とひとこと言って部屋に帰る。

 

自分の気持ちを恥ずかしがずに素直に娘に伝える。これは妻に対しても同じかもしれません。そうすれば共感の気持ちが相手に生まれ、きっとお互いを気遣う関係になれる、そういうことですね。「言うは易く行うは難し」で、なかなか難しいですが。。