公認会計士とUSCPAの比較③ | あすくまblog

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今回は公認会計士とUSCPAそれぞれが活躍できるフィールドについてお話しようと思います。

 

活躍できるフィールドの違いは前回の「公認会計士とUSCPAの比較②」でお話した、試験で求められるスキルの違いによるものだと考えています。

 

 

  会計監査

 

前回の「公認会計士とUSCPAの比較②」で投稿した通り、監査の学習内容という点では公認会計士とUSCPAにあまり知識の差はないように思います。

そのため、指示を受け、監査手続を実施して監査調書を作成することに関してはどちらも対応できるでしょう。

 

クライアントから会計相談があった場合、通常は日本の会計基準の解釈や他社の事例などについて把握していないと回答が難しいような高度な質問が多いため、会計相談の対応に関しては日本の会計基準を詳細まで把握している公認会計士でないと厳しいと思われます。

 

一方、海外拠点のあるクライアントであれば、海外拠点の監査人とコミュニケーションをとって連結財務諸表の監査を進めていくことがありますが、このときの英語のインストラクションや成果物の管理、外国の方とのメールや電話についてはUSCPAが英語力という面で貢献できることが多いようです。

 

 

  アドバイザリー・コンサル

 

アドバイザリー・コンサルにも新会計基準導入支援、IFRS導入支援、内部統制改善支援、経営やM&Aに対する助言、サステナビリティ開示作成支援と色々あります。

 

例えば、新会計基準導入支援はクライアントが新会計基準に対応できるよう内部統制の構築をサポートし、会計監査で監査法人に指摘されないように論点があれば整理しておくなど、まだ他社事例がない中で支援していく必要があるため、高度な会計基準の知識を持った公認会計士が得意とする領域です。

 

IFRS導入支援についても、USCPAは試験でIFRSの出題があり有利のように思えますが、日本基準の会計処理からIFRSへのGAAP調整は日本基準の会計処理に対する深い知識が必要であるため、やはりこれも公認会計士の領域となります。

 

対して、海外企業とのM&Aに対する助言やサステナビリティ開示作成支援ではUSCPAが活躍することが多い印象です。

サステナビリティについては 日本 < 米国 < 欧州 の順で企業のディスクロージャーが充実しており、日本の企業がサステナビリティ開示を作成する際は欧州や米国の企業の先行開示例を参考にすることが多いため、英語で開示を読む機会が多いUSCPAが必要となります。

 

 

  税務

 

日本企業の税務に関しては、税理士がスペシャリストであり、公認会計士でもすぐには参入できないフィールドです。

ただし、公認会計士は税理士登録をして税理士として仕事をすることも可能ですし、公認会計士試験で税務の勉強もしており基礎的な内容についてはおさえているため、キャッチ・アップは十分可能と思われます。

 

USCPAは試験で勉強するのは米国の税務ですし、細かい論点の学習はしていないため税務で活躍するというのは難しく、実際活躍しているUSCPAは非常に希少と思われます。

 

 

  その他

 

外資系金融機関では、USCPAがリクルートで有利な傾向があると思います。

ポジションにもよりますがやはり英語でコミュニケーションが取れるという点がまず必須ですし、公認会計士のような高度な会計知識はあまり必要とされず、USCPAのように英語で財務諸表を読める人材が重宝されるからです。

 

USCPA全員が英語でコミュニケーションを取れるかというと、そんなことはないと思いますが、少なくとも英語で会計の難関試験を突破しているため、ある程度の英語力・会計力の証明として使えます。

 

その他にも会計基準の高度な知識が必要な業務では公認会計士が、英語と会計を同時に必要とする業務ではUSCPAが活躍できる傾向があります。

 

 

以上