今回はそれぞれの試験の難易度についてお話します
一般的にはUSCPAは簿記2級と1級の間の難易度と言われたり、会計知識に関しては公認会計士とUSCPAで天と地ほどの差があるなど言われていますが、実際に私が感じた難易度を率直に書いていきます。
公認会計士試験の難易度
公認会計士試験は短答式試験と論文式試験があり、更に公認会計士試験合格後にも登録のために修了考査に合格しなければなりません。
修了考査については別の投稿で紹介したいので、今回は短答式試験と論文式試験の難易度について紹介します。
短答式試験(4科目) 難易度 ☆10
財務会計論、管理会計論、企業法、監査論
合格率10%程度の狭き門です。
試験問題自体が難しいというのもあるのですが、1問でも計算ミスや問題文の読み落としがあると合否に影響する可能性があるため一般的な受験生が取れる問題は必ず取ることはもちろん、集中力との勝負にもなります。
合格ボーダーが受験生全体の出来で決まり、かつ選択式の問題であるため、論文式試験に比べて運の要素も少なからずあると思います。
合格の難易度は非常に高いと思います。
1-2年程毎日10時間くらいの勉強時間が必要と言われており、実際受験してみて同じような感覚でした。
論文式試験(6科目) 難易度 ☆9
会計学(財務会計論、管理会計論)、租税法、企業法、監査論、選択科目(経営学、統計学、経済学、民法)
合格率は30%程度ですが、受験生は基本的に短答式試験合格者ですのでこちらもかなり狭き門になっています。
試験問題は論述式ですので、理解が大事な試験となっており(採点されるポイントを抑えつつ)自分の言葉で論点を説明できるところまで深い勉強が必要になります。
また試験時間が1科目2時間(財務会計論は3時間)で、3日間に渡って試験が行われるため精神面、体力面でもかなりきつい試験でした。
合格すること自体の難易度は短答式試験と比較すると少し低いと感じました。
12月の短答式試験に合格してから8ヶ月、毎日7-8時間くらいの勉強をすれば(余裕では全くないですが)、合格できる試験だと思いました。
USCPA試験の難易度
USCPA試験はFAR(財務会計論)、AUD(監査論)、BEC(管理会計論、経済学、IT)、REG(税法、民法)の4科目の試験であり、基本的に1科目ずつ受験することになります。
USCPA試験の場合、まず試験問題が英語ですので受ける方の英語の得意、不得意によって難易度は変わってくるのではないかと思います。
私の場合TOEIC L&Rレベルの問題であればそこまで苦労せず読める程度の英語力でしたが、英語がネックになるということはあまりありませんでした。
大学受験で英語を勉強した方であればそこまで苦労しないのではないかと思います。
というのも、意外と会計の専門用語は限られており、テキストや問題集を読んでいれば英語の表現に自然と慣れてくるからです。
FAR(財務会計論) 難易度 ☆5
AUD(監査論) 難易度 ☆5
内容も難易度も公認会計士試験の短答式試験の監査論と同じくらいという印象でした。
試験範囲自体は他の科目に比べて少ないのですが、とにかくこのAUDは監査プロセスを体系的に理解していないと本番の試験問題に対応することは厳しいと思いました。
どんなアサーションがあり、リスクがあり、コントロールがあり、なぜこの監査手続や監査意見になるのか、今聞かれている問題は監査プロセスのどの位置か、理解できていないと回答の論点がずれてしまいます。
そういった意味で難易度は少し高めにしていますが学習範囲自体は広くないので2-3ヶ月くらいの勉強で十分という印象でした。
BEC(管理会計論、経済学、IT) 難易度 ☆4
REG(税法、民法) 難易度 ☆4
所感
試験難易度を比較するとやはり公認会計士試験の難易度はUSCPAとは理解しなければならない内容の深さや学習範囲の広さという面でも、合格率の面でも非常に高いと思います。
ただし、監査論とAUDについては重要な監査の考え方を一通り学習している点で共通しており、会計の知識もベーシックな論点や財務諸表へのインパクトを意識して会計処理を考えることができる能力には天と地ほどの差はないと思います。
複雑で細かい会計処理の知識や初見の事象、トランザクションに対する会計的な思考力、対応力、適応力は公認会計士の方が試験の性質上、身につきやすいと感じます。
公認会計士は専門的知識の世界ですので、実際に公認会計士とUSCPAが同じ職場で働くと知識の深さに差があると感じるのはこのあたりの能力の違いのような気がします。
次の投稿に続きます