簿記3級や2級でも出題される会計処理だと思いますが、イメージしづらいので整理してみました。
手形割引、裏書譲渡、手形不渡はいずれも「受取手形」に関する取引です。
売上代金分を受取手形で受け取った場合の仕訳は下記のようになります。
借方)受取手形 10,000円 貸方)売上 10,000円
その上で、手形割引、裏書譲渡、手形不渡それぞれの仕訳を取引の実態から考えていきます。
手形割引
手形割引とは「満期日前の手形を銀行等へ持ち込み、満期日までの金利に相当する割引料(手形割売却損)を負担して早期に現金化すること」です。
受け取った受取手形10,000円について、遅ければ満期(期限)になるまで入金されない可能性がありますが、資金繰りの関係などから早めに現金が欲しい場合に銀行などの金融機関に行って受取手形を現金に変えてもらうことがあります。
ただし、現金化した時点から満期までに発生すると見込まれる金利相当額は金融機関へ手数料という形で支払わなければなりません。(早めに現金をもらえるというメリットに対する対価だと考えてください。)
従って、もらえる現金も10,000円全額ではなく、手数料分を差し引いた金額になります。
借方)現金預金 9,900円 貸方)受取手形 10,000円
手形売却損 100円
裏書譲渡
裏書譲渡とは「満期日前の手形の裏面に署名し、仕入代金などの支払いのために譲渡すること」です。
受け取った受取手形を自分が支払わなければ行けない仕入代金の返済に充てるということです。
その際、手形の裏面に署名するため「裏書譲渡」と呼びます。
借方)仕入 8,000円 貸方)受取手形 8,000円
(受取手形10,000円の内、仕入代金の返済に8,000円分を使用)
手形不渡
手形不渡とは「手形割引や裏書譲渡で金融機関や仕入先に渡した受取手形が債務不履行となり、現金が支払われない」状態です。
売上を受取手形で受け取っていましたが、その相手先が債務不履行(破産、倒産、支払い拒否など)となり、受取手形の代金10,000円が支払われないことになった場合、手形割引や裏書譲渡で受取手形を受けとった所持人(金融機関や仕入先)は現金を受け取ることができません。
その場合、所持人から「償還請求」という形で、現金を請求される可能性があるため、手形割引や裏書譲渡の仕訳をきると同時に下記の仕訳をきって支払いに備えることがあります。
借方)保証債務費用 100円 貸方)保証債務 100円
(額面10,000円の1%=100円を保証債務とする場合)
以上