このようにシャントをつぶしてしまえば、この患者様の透析中の手の痛みは改善すると思われます。

でもこれでは新しいシャントを作らなければなりませんよね!
簡単に作れればいいのですが、できない方もいらっしゃいます。
なにより、新しいシャントでも盗血症候群が起こってしまう可能性があります。
この患者様は、現シャントを調整することで症状緩和を目指す方針となりました。
もう少しよくシャントを見てみましょう。

シャントは抜けが命!と何度かこのブログで書いてきました。
このシャント流出路は、途中で分岐して尺側皮静脈と橈側皮静脈の二系統になっています。
シャント血流は7割が尺側、残りが橈側、といった印象です。
静脈はどちらも穿刺しやすく、距離のある良い血管でした。
このシャントの、尺側皮静脈だけを指で閉鎖してみました。

なんと末梢の動脈拍動が良くなっています!!
つまりこういうことです

ということで、この患者様は尺側皮静脈だけを結紮(閉鎖)して、橈側皮静脈一本のシャントにしたところ、血流はそこそこですが、穿刺に問題無く、盗血にもならない、ほどよいシャントに生まれ変わることができました。
一番ちいさな手術で望ましい結果が得られたのではないか、と自画自賛してみます
(‐^▽^‐)
シャントって、流れすぎるほうが流れないより大きなトラブルとなることが多いので注意しましょう!
(一本のところで血管を細くしたり、入り口を変更する手術もなくはないのですが・・・
正直満足できるかどうかは何とも言えません 人工血管ではたまにやります)