シャントって何? 第3章 手術部分別のシャントの特徴16 肘のシャント | 日々是シャント 〜群馬のシャント専門医のブログ〜

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2 シャント本幹しか発達せず、分岐がほとんど存在しない


これについて説明していきましょう。


分岐・枝の少ないメリットとはこういうことになります。

シャントの本幹に血流が集中できるため発達しやすい


これまで分岐・枝の存在が、ソアサムや逆流などを引き起こすことがある、というお話をしてきました。

この辺りです。

本幹が荒廃してくると、分岐へ血流が逃げてしまい、逆流した血流が悪さをしてしまうことが多くなる、ということです。

分岐がないのは良いことのようですが、問題もあります。



つまりはこういうことです

一本の発達した道のシャントである

同じ血管の同じ部位に針を刺し続けがち

血管の荒廃がおこると、わき道・逃げ道がないので大渋滞になりやすい



本幹が狭くなってきたときに、分岐に逃げることで渋滞を緩和している側面もある、ということです。


分岐が悪い訳ではなく、本幹が狭くなっているのを放置しておくことが良くない!


というわけです。

シャントの真実を一つお話しします。

分岐が発達してくるということは、本幹が狭窄していることを示している

分岐・枝も、本幹の血流低下を示すセンサーとしてとらえることができるという訳です。

では、そういった視点であらためて上肘で作成された、橈側皮静脈に流れるパターンのシャントをみてみると・・・

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このように完全に一本道であることが多いのがわかりますね。


次回は、この上腕の橈側皮静脈の終点、尺側皮静脈との合流部についてお話ししていきます。