腎機能が極端に低下すると、いわゆる尿毒症の症状が出現します。
尿毒症の症状は、
疲労感、無気力、食欲不振、嘔吐、頭痛、意識障害、痙攣、吐血、下血、口臭、不整脈、呼吸苦、心不全…
がよく言われていますが、本当に尿毒症の症状は多岐に渡っています。
前回の復習ですが、腎機能は大きく分けて
①老廃物を捨てる、バランスを整える
②体の中の水分量を一定にする
③血液を作る
であると説明しました。
よく勘違いされやすいのですが、
同じ腎不全でも、①が先に悪くなった方と、②が先に悪くなった方の症状と経過は異なります。
また、①,②,③、どれが先に悪くなってくるかは人それぞれです。
では一つ一つ見ていきましょう。
①が先に悪くなった場合
イメージとしては、先に説明した
エンジンがかかったままマフラーが詰まった状態がわかりやすいです。
いい表現ではないですが、ゴミが捨てられずに、
血液がゴミまみれになった状態、そしてたまったゴミが毒になった状態です。
尿の毒、で尿毒症というわけですね。
ひとことで言うと気持ちが悪く、食欲がなく、血管がもろくなってアザだらけ、体力ではなく生命力が下がっている状態です。
放置して進行すれば、最後には気持ちが悪すぎて意識がなくなって死んでしまいます。
つぎに
②が先に悪くなった場合
体の水分量を一定にできなくなります。ごく簡単に言えば、
捨てなければいけない水分が捨てられずに、体にたまってしまいます。
たまった水はどうなるのか?
最初は手や足、顔がむくみます。
別に手足が浮腫んでも死にはしません。
次にかならず肺と心臓に水がたまります!
肺に水がたまる、つまり陸の上で溺れてしまうようなものです。
これは呼吸不全の状態で、最後には苦しくて死んでしまいます。
心臓はポンプと思ってください。ポンプで送るはずの血液が水浸しで増えすぎ、ポンプが正常に働かなくなった状態、これが心不全となります。
言葉が悪くて申し訳ないですが、腎不全を放置すると大変な事になりますのでご理解ください。
③だけが先に悪くなりすぎて症状がでる、ということはあまりない印象です。
腎臓が血を作るのではなく、骨にある工場に血液を作れ、と命令しています。
腎機能が低下すると、この命令(ホルモンといいます)が出せなくなり、貧血になってしまいます。
ではいよいよ、透析のきほんについて説明します。