盗血症候群の治療方針 | 日々是シャント 〜群馬のシャント専門医のブログ〜

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透析用バスキュラーアクセス(いわゆるシャント)専門医が日々の透析からシャント、アクセスそして腎移植までの相談内容を分かりやすく?詳しく紹介していくブログです。

では盗血症候群の治療について説明していきます。

最初に、症状の強さについてお話しておきますと、

盗血症候群の治療の絶対適応として

血流障害による皮膚変色、壊死などの兆候がある場合

すぐに対処が必要と言われています。

が、
虚血の痛みは本当に辛いものですので、
わたしは基本的に

痛みが強い場合には何らかの治療を行うべき

と考えています。



まず盗血症状の原因が

①シャント血流過剰によるものか
②動脈硬化によるものか
③上記二つの合併なのか


を整理しておきます。

最初の治療として、

抗血小板薬、抗凝固薬の投与
炭酸泉浴など
動脈のPTA

などといった保存的治療もありますが、効果は限定的な印象です。

やはり最終的には

シャント・グラフトの閉鎖
または
動脈側の縫縮
(シャントの流入口の首を、シャントがつまらない程度に絞める)

を決断しなくてはいけないことが多いです。

縫縮は、ラージシャント、つまりシャント血流過大の場合に限定的な印象で、さらに手技的にも難しいです。

つまり、殆どの症例でシャントを潰すことを考えなくてはなりません。

この場合、むしろ
大事なのは、今のシャントの次に
新しくアクセスをつくれるかどうかです。