シャントの痛み③ 局所に問題がある場合 | 日々是シャント 〜群馬のシャント専門医のブログ〜

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透析用バスキュラーアクセス(いわゆるシャント)専門医が日々の透析からシャント、アクセスそして腎移植までの相談内容を分かりやすく?詳しく紹介していくブログです。

では、実際に先ほどの痛みの分類を

①痛みの場所
②痛くなる時間
③痛みの性状

で分けて考えてみましょう

局所に問題がある場合

穿刺による痛み
①刺したところ
②刺しているあいだ。針を抜いたら痛みが引くことが多い
③チクチク
診断は比較的容易
治療は穿刺部位を変える・針の向きを変える・ボタンホールにする等
(未確認ですがアロマとかも?)
 
穿刺漏れでできた血腫の痛み
①漏れた周辺
②腫れが引くまでずっと
③じんわり・熱感
暗赤色になっており判断しやすい
湿布・鎮痛剤 予防的抗生剤投与? 腫れた周囲には穿刺しないなど
神経圧迫症状や、大きな血腫で皮膚の傷みが強いときには手術も

シャントが詰まるなどしてできた血栓の痛み
①閉塞した血管内に発生した血栓の周辺
②4・5日間ずっと
③触ると痛い 4・5日経つと消失
感染と間違われやすい
湿布・鎮痛剤 予防的抗生剤投与? あまりにひどいと外科的に血栓除去

吻合部にできたコブの痛み
①コブ周辺
②いつも痛む
③触ると痛む ずっと継続
原因を
コブにできた石灰化
壁在血栓(壁にこびりついた血栓)
大きくなりすぎて皮膚が傷んでいる
圧ががかかりすぎている・・・に分別して考えてみます
程度によっては瘤切除(こぶとり)

感染による痛み
①感染した周囲
②ずっと 
③触ると特に痛む
穿刺部におこりやすい
抗生剤投与 安静 …最悪手術でのシャント閉鎖・感染部抜去など
ですが、自己血管内シャントの本幹の感染は意外と抗生剤で粘れることが多い印象です
(あくまでも私の、ですが)

その他:かぶれによる痛みなど



以上、これらは局所の所見なので、しっかりと観察すれば診断は可能でしょう。
あくまで私見です。もちろん症状の程度によって治療法は自ずと変わってきます。


問題は

血流に問題があって痛みが出ている場合

です

いずれじっくりと説明しましょう

ただその前に、各種のシャント合併症の病態を知っておいた方がわかりが早いです、