”シャントは高速道路”第二回です。
前回、例えた高速道路の内容について、図を交えて説明していきましょう。
まずは正常なシャントと高速道路の関係から。

いかがでしょうか。前回の復習ですが、
動脈は下道(国道とか)
吻合部はインターチェンジ
シャント本幹は高速道路
目的地である心臓(右心系)は練馬出口
高速道路に車がよどみなく、適切な量が流れている状態が良いシャントというわけです。
では、このインターチェンジが狭い高速道路はどのようなシャントなのでしょうか。

下道には十分車が走っている
・・・動脈を流れている血液量はたくさんある
インターチェンジが狭く、十分な車が高速に上れない
・・・吻合した血管の内径が狭くなっており、血液が十分にそこを流れることができない
高速道路は空いている
・・・シャント血管内を流れている血液量が少なく、脱血不良となりやすい
これは、最もよく見るパターンであります、
シャントの吻合部(近傍)狭窄 です。
症状としては、
シャント音は狭窄音(ヒュー音、断続音、弱い)を吻合部で聴取
スリルは吻合部で触知、弱い
脱血量が低下する
静脈圧は正常
閉塞しやすい
穿刺困難となりやすい
といったところでしょうか。
実際の画像を紹介します。
シャント音減弱と脱血不良、そして血管の張りが弱くなったことからの穿刺困難が主訴の患者様の血管です。
左前腕内シャントですが、ご覧のように

写真左上が肘、右下が手首となっています。
吻合部に連続した狭窄
があるのがわかります。これはつまる寸前で、すでに透析での使用に支障をきたしているためすぐに治療を行いました。
ちなみに治療法としてはまず以下の二つ。

A 狭くなった血管を内部からバルーンカテーテルで拡張
B 狭くなったところをあきらめて新たにシャント吻合部を作成
この患者様はまず A の治療を試みましたが、

このようにバルーンにかなりの圧(15気圧とか)をかけても ”ウエストが残って” しまいました。
あまり無理をするとシャントが破裂することもあるので、やむを得ず治療法を変更させていただき、
Bの手術での再建を行いました。幸い吻合部以外の血管はとてもよかったので、すぐに使用可能なシャントになりました。
いつも長い文章でスミマセン
(;^_^A
またいろいろなシャントを高速道路で例えながら説明していきますのでよろしくお願いします。
ではさようなら。