突然?つまる人工血管の謎② | 日々是シャント 〜群馬のシャント専門医のブログ〜

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透析用バスキュラーアクセス(いわゆるシャント)専門医が日々の透析からシャント、アクセスそして腎移植までの相談内容を分かりやすく?詳しく紹介していくブログです。

こんにちは。
今日は人工血管の話の続きです。

透析歴5年、人工血管を移植されて丸3年になります。
その間特にトラブルがなかったので検査はうけていませんでした。

このところ若干血流が弱くなった印象と聞きました。
まだ一度も検査をしたことがなかったのですぐに検査を行ったところ、



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解説すると
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こんな狭窄で大丈夫か?


意外と症状が出ないものですね~
シャント音もまずまず聴取できており、静脈圧の上昇や脱血不良もなく透析は安定してできていました。

ただし、この状態では血圧が下がったりすると確実につまってしまいます。

人工血管の内径は5~6mm、手術で人工血管と自己静脈を吻合するときはこの画像のように、
しっかり内径を保つように吻合しますが、

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やはり静脈が動脈血流に耐えられないためか、人によっては(ほぼ確実ですが)静脈側の吻合した直後が狭くなってきます。

このため、私たちは特に症状がなくても定期的なPTAを行ったほうがいいのでは、と考えています。


血圧が下がっただけではシャントや人工血管がつまるのではなく、
このように症状としてあらわれない狭窄病変が存在していることで閉塞してしまうのでしょう。

このため、人工血管が 突然 つまってしまった というように感じてしまうのだと想います。

これは内シャントにも言えることですが…

また少しずつ更新していきますのでよろしくお願いします。