突然?つまる人工血管の謎① | 日々是シャント 〜群馬のシャント専門医のブログ〜

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透析用バスキュラーアクセス(いわゆるシャント)専門医が日々の透析からシャント、アクセスそして腎移植までの相談内容を分かりやすく?詳しく紹介していくブログです。

今日は人工血管についてお話しします。

日本では透析患者様の5%くらいが人工血管を使用しています。


日本透析学会発行の、バスキュラーアクセスのガイドラインは見たことがありますか?

ガイドラインでは、
人工血管 の二次開存率は、術後 1年 80%,3年 60%,5年 40%を到達目標としています。

二次開存率とは…いろいろな定義がありますが、簡単に言うとPTAなどお手入れをしつつ、人工血管がつまらないで使用出来ている状態、ということです。

残念ながら手術して3年以内で約4割の患者様の人工血管が使用不可能となってしまいます。

この成績を少しでもよくして皆さんの人工血管を長持ちさせようと、我々は日々試行錯誤を繰り返してきました。
残念ながら確実な方法は確立しておりません…(それは内シャントについても同様ですが)

しかし、数年前と比較して、定期的なPTAの実施によって、かなり人工血管は長持ちするものとなってきました。閉塞してもPTAで再開通できることがあります。


ではお手入れをしない場合、どのくらいの確率で人工血管は閉塞してしまうのでしょうか?

手術して一年以内に半分くらいの人工血管は閉塞してしまいます 
(-x-;)

手術の技術による差もあるでしょうが、大部分は管理の意識の問題かもしれません。


次回

”こんな狭窄で大丈夫か!?” 手術後3年間、お手入れされたことのない人工血管のお話です。