ニセモノを作りやすいようにわざわざ見本を造ってやった。そういうことだろ?w

 

 

作業は簡単で準備や技術は要らない。5分もあれば1枚作れる」。マイナカードを偽造したとして、警視庁に昨年12月、有印公文書偽造容疑などで逮捕された中国籍の女(27)(1審で懲役3年、控訴中)は東京拘置所でそう語った。 

 

マイナカードの持つ本人証明機能がいかに精巧で信頼性を高めているにせよ、その証明機能を使わず「目視」で良しとする限り、逆に「信頼性の高いニセモノ」を作りやすいようにお膳立てしているようなものだ。なまじ「機能」が存在する分、免許証や保険証などよりも信頼性が高いという「印象」を引き出すことになってしまっている。

 

行政サービス以外の利便性も高く、本人確認の証明書として携帯電話の契約や口座開設などの場面で使われてきたが、確認は目視のみのところも多かったとみられる。全国銀行協会(東京)によると、ICチップの情報を読み取って確認する機器の導入は大手銀行など一部に限られる。 

 

例えばATMの設置が不十分なら銀行キャッシュカードの普及は当然進まない訳で、設置とともに普及率も上がるというのが自然な因果である。マイナカードは完全にその逆の摂理で、鼻先に2万円ぶら下げて作らせることに全神経を注いだ結果、普及はしていても利用は不能の実態を招いている。20世紀以降のニッポンのアホな政策の代名詞になりそうだ。

 

アナログなデジタル大臣は「目視でも偽造は見抜ける。しっかり見抜くことが重要。」的なことを言っているが、そうじゃない。問題は「目視でも証明書として使える」と位置付けたことだ。つまり、かねて偽造されやすかった免許証や保険証など紙の証明書と同じ「脆弱性」をマイナカードに与えつつ、逆に堅牢という「印象」を与えてしまったことだ。それは明らかに政府の設計ミスであり、そうすべきでないことは、もとより十分に判りきっていたことである。

 

 

> デジタル庁は、マイナンバーカードに記載している住所と性別、12桁の個人番 号(マイナンバー)について、削除する方向で検討する。いずれもカードのICチップに記録されており、プライバシー保護や防犯上の観点から、記載は不要との意見が出ている。 

 

そもそもこうした記載が不要なのは端っから明白だった。

 

ICチップに内蔵されたこれらデータは、券面事項入力補助アプリと呼ばれるインターフェイスを通して、ICカードリーダーにより限定的にアクセスすることで取得可能となっている。アクセスには自分で設定した暗証番号が必要なため簡単には漏洩せず、秘匿性が保たれるわけだ。そうした秘匿性こそがこの類のカードの「売り」なはずなのに、わざわざ名前や番号をカード表裏面にでかでかと記載して、この仕組みの存在意義を完全に無き者にしたのがまさに政府なのである。まったく、間抜けにも程があるというものだ。

 

これで判るとおり、政府は明らかに情報セキュリティというものを理解していない。個人番号を堂々と記載したカードを配布しておきながら、「安全のため、個人番号は人に見せてはいけない」などと言う。そのくせ「身分証明書や保険証の代わりになる」のだから「持ち歩け」という話だ。その説明自体に大いなる矛盾が有ることすら政府は理解出来ていない。マイナンバーカードが国民に敬遠されて普及が進まない理由は間違いなく、「見られてはいけない」はずの番号が「カードに記載されている」からだろう。そんなアブナイものを持ち歩く行為は生理的に出来ないというのが極めてまともな感覚なのである。

 

では、何故そんなことになったのか。政府が考えそうな理由は恐らくこれだろう。

 

「マイナンバーカードは、行政機関での住民票や納税証明の発行などの際に、本人確認のため窓口で提示を求めることになる。確定申告の際も同様だ。そうした窓口での対応時に、カードの券面事項入力補助アプリを通して本人情報にアクセスするためには、ICカードリーダーをすべての窓口で準備する必要がある。しかし、すべての窓口を網羅するには相当の期間を要するだろう。ならばそれまではカードの表裏面の提示を受け、目視で個人番号を確認せざるを得まい。」

 

どうだろうか。特に確定申告のピーク時に人海戦術で対応したい意図が透けて見えるのではないだろうか。

 

まさに自民党の党是の「背に腹は代えられぬ」が息づいたシステムだろう?それで偽造ほう助する結果を導いているのだから開いた口が塞がらない。

 

悪いことは言わないから、さっさと「マイナカードの目視による本人確認を禁止する法律」を作れよ。そして券面の個人情報をすべて削除しろ。ICカードリーダーが無かったら何の役にも立たないただのプラカードに追い込む。偽造・詐欺利用を防止する唯一の手段がそれだ。