おいおい、まさか今頃になってやっと気が付いたってのか?

 

 

デジタル庁は、マイナンバーカードに記載している住所と性別、12桁の個人番号(マイナンバー)について、削除する方向で検討する。いずれもカードのICチップに記録されており、プライバシー保護や防犯上の観点から、記載は不要との意見が出ている。 

 

そもそもこうした記載が不要なのは端っから明白だった。

 

ICチップに内蔵されたこれらデータは、券面事項入力補助アプリと呼ばれるインターフェイスを通して、ICカードリーダーにより限定的にアクセスすることで取得可能となっている。アクセスには自分で設定した暗証番号が必要なため簡単には漏洩せず、秘匿性が保たれるわけだ。そうした秘匿性こそがこの類のカードの「売り」なはずなのに、わざわざ名前や番号をカード表裏面にでかでかと記載して、この仕組みの存在意義を完全に無き者にしたのがまさに政府なのである。まったく、間抜けにも程があるというものだ。

 

これで判るとおり、政府は明らかに情報セキュリティというものを理解していない。個人番号を堂々と記載したカードを配布しておきながら、「安全のため、個人番号は人に見せてはいけない」などと言う。そのくせ「身分証明書や保険証の代わりになる」のだから「持ち歩け」という話だ。その説明自体に大いなる矛盾が有ることすら政府は理解出来ていない。マイナンバーカードが国民に敬遠されて普及が進まない理由は間違いなく、「見られてはいけない」はずの番号が「カードに記載されている」からだろう。そんなアブナイものを持ち歩く行為は生理的に出来ないというのが極めてまともな感覚なのである。

 

では、何故そんなことになったのか。政府が考えそうな理由は恐らくこれだろう。

 

「マイナンバーカードは、行政機関での住民票や納税証明の発行などの際に、本人確認のため窓口で提示を求めることになる。確定申告の際も同様だ。そうした窓口での対応時に、カードの券面事項入力補助アプリを通して本人情報にアクセスするためには、ICカードリーダーをすべての窓口で準備する必要がある。しかし、すべての窓口を網羅するには相当の期間を要するだろう。ならばそれまではカードの表裏面の提示を受け、目視で個人番号を確認せざるを得まい。」

 

どうだろうか。特に確定申告のピーク時に人海戦術で対応したい意図が透けて見えるのではないだろうか。

 

要はいつもの通り自民党の党是、「背に腹は代えられぬ」なのである。政官一体のお間抜け連中がやってくれることはいっつもこんな感じだ。最も重要なポイントは何か?という観点を思い切りスルーしやがる。いまどき「デジタル庁」なんてアホなネーミングで威張っていられるような神経じゃどう頑張ったってこの程度だろう。最初から「大それたことには手を出すな」と言いたい。