今回は、高校数学ではなく、
中学数学です。
<問題>
図のように、大小二つの長方形で、
小さいほうが、大きいほうの内側にあるものを考える。
このとき、二つの長方形で囲まれる部分(図の灰色部分)の
一昔前の世代の人間であるためか、
筆者はこの手の問題を見たことがありませんでした。
もしかすると、難関私立の入試問題で見たことあったかもしれませんが、
記憶が定かではありません。
新課程の人にとっては「よくある問題」の一つなんでしょうか?
まあ、解法を知らない段階から、自分で解法を見つけるのは
ちょっと大変ですね。
でも、問題文には長さや角度の設定がなく、トポロジカルな問題なので、
簡単な方法で解けそうだという予感はします。
解法をまだ知らない幸運な人は是非考えてみてください。
以下、解法を紹介しますが、
その前に、「解法が正しい」ことの根拠となっている事柄を
定理として書いておきたいと思います。
<定理>
平行四辺形の二つの対角線の交点を通る直線は、
その平行四辺形の面積を二等分する。
<証明>
平行四辺形の二つの対角線の交点を通る直線
なんとすれば、
(1)平行四辺形の二つの対角線は中点で交わるから、
一辺が等しい。
(2)対頂角は等しい
(3)錯角が等しい
よって、(1)~(3)より、一辺とその両端の角がそれぞれ
等しいので合同である。
したがって、黄緑色の三角形の面積は等しい。
同じことが、白色の三角形、水色の三角形でもいえる。
ゆえに、平行四辺形はに等分されている。 (証明おわり)
この定理を頭に入れておけば、
上の問題をさらっと解くことが出来ます。
「(平行四辺形の)二つの対角線の交点」と書くと長ったらしいので
以下、「(平行四辺形の)中心」と書くことにします。
ここだけでの呼び名です。
<解答>
大きい長方形の中心と、小さい長方形の中心とを
通る直線を引けばよい。(下図)
これが面積を二等分していることは以下のようにしてわかる。
長方形に対しても、上で示した定理は成り立っている。
この直線(以下直線mと呼ぶ)は、
小さい長方形の面積を二等分しているし、
大きい長方形の面積(灰色部分+小さい長方形の面積)も
二等分している。
よって、大きい長方形の面積をS、小さい長方形の面積をsとすると、
灰色部分のうち、直線mよりも
下側にある部分の面積は、
となり等しい。
したがって、直線mによって、灰色部分の面積は二等分される。(おわり)
そういうわけで、
定規で5本線を引くだけで解ける問題でした。
定理の主張は「そりゃそうだろう」と納得いきますが、
問題のようにくりぬかれている場合は若干モヤモヤが残るかもしれません。
理解の仕方の一つは、上の解答に書いたように
灰色の面積を
大きい長方形の面積の半分S/2と、小さい方の半分s/2で表せば
確かに同じ面積になっている、
という論法です。(が納得いくでしょうか?)
また、問題文では「~直線を一本引け。」となっていますが、
実際は、上の解答をみればわかるように、二等分線は一本しかありません。
2点を通る直線は一本しかないからですよネ。
定理が“平行四辺形”でなりたっていることから、
問題が“長方形”でなく、一般の“平行四辺形”の場合も
同じ解法が通用します。
しかし、三角形のときは使えません。
定理は、三角形に対しては成り立たないからです。
「中心(二つの対角線の交点)」のかわりに「重心」としてみても、
重心を通る直線は、必ずしも二等分線になるとは限らないので、
うまくいきません。
では、円ならどうでしょう?
問題
図のように、大小二つの円で、
小さいほうが、大きいほうの内側にあるものを考える。
このとき、二つの円で囲まれる部分(図の灰色部分)の
面積を二等分するような直線を一本引け。
を解く方法は存在するでしょうか?


